夏と海と青春と ページ23
パラソルを立てて浮き輪を膨らませているとお妙の誘った友人がやってきた。
「妙ちゃん、遅くなってすまない」
「まったく、猿飛が張り切るものじゃから」
眼帯をした黒髪の女の子とクールな表情のお姉様。
すかさず距離を詰めたAは2人に名前を尋ねる。
「九兵衛ちゃんに月詠さん…素敵な人達。今日は私と浜辺でロマンチックな____」
「はいはいA、それは後でな。どうせ長いんだろ。代わりに銀さんが浜辺でロマンチックにデートしてやるから」
銀時に遮られてむっとするA。すると猿飛がさらに不機嫌な様子で怒鳴る。
「ちょっと銀さん!デートってどういうことなの!?さっちゃんという人がありながら!!」
向こうが騒がしくなるのを感じながら振り返ると神楽がパラソルの下で手招きしていた。
番傘を閉じて神楽の隣に座る。
「さ、早く日焼け止め塗って泳ぐアルよ!」
手に日焼け止めを乗せてAの肩に塗る神楽。お腹や足にまで神楽の手が行き渡り時々くすぐったい。
「あは、神楽ちゃ、ふふ、ひゃっ、くすぐった」
「Aー、こちょこちょ弱いアルナー!」
身悶えるAに男性陣は少しドキドキしながらそれを眺めていた。
番傘をさして足元で水を楽しむAと神楽。銀時と沖田はパラソルの下でAを目で追っていた。
「Aあいつあんなにいい体してたんだな。今度風呂でも覗くか」
「旦那がそのつもりなら俺ァ一緒に寝てやりましょうかねィ」
2人でぶつぶつとA談議を繰り広げていると銀時が猿飛に攫われてしまった。
すると入れ替わるようにAがパラソルの影に入ってくる。
「あー楽しいー!沖田くんはなにしてたの?」
「美女の水着姿楽しんでやした」
正直に答えるとまさか自分のことだとは思っていないAは「男の子だなー」なんて呑気に笑う。
Aはカバンの中から日焼け止めを取り出すと手に絞って足に塗り始めた。不意に沖田の方を向いて「悪いんだけど」と困ったような顔をする。
「背中に日焼け止め塗ってくれない?」
沖田はチューブを押して手のひらに出すと両手に広げた。「失礼しやす」と一応声をかけてそっと触れるように背中を撫ぜるとAがふるりと体を震わせたあと吐息で笑った。
「ふ、沖田くん、優しすぎ。くすぐったい」
一瞬だけ後ろを向いたAと目が合ってしまう。綺麗な肌に手を這わせている沖田は緊張した面持ちで真っ赤になっている。
先程までうるさかった波の音は心臓の音にかき消された。
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あまたのしずく(プロフ) - ぱぴこさん» コメントありがとうございます!暖かいコメントに安心出来ました。小説の下書き感覚ではありますが、以降が確定するまでは下書き感覚で時々更新していこうかなと思えました。拙文ではありますが、良かったらこれからも読んで下さると嬉しいです! (1月22日 10時) (レス) @page38 id: 815a4cedef (このIDを非表示/違反報告)
ぱぴこ - 作者様がちょっとでも無理だなとかそういうこと?思ったなら移行を考えてもいいと思います。個人的にはこの小説がすきなので作者様に続けて欲しいとこもあります。ですが最終的には作者様次第だと思います!重く考えず、楽な方を選んでもいいかもしれないです。 (1月3日 15時) (レス) @page38 id: c43eafab12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまたのしずく | 作成日時:2021年9月14日 4時