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私は冷めた視線で目の前の老男を見詰める。老男は私の視線に気が付いて居ないのか自分達の部下を使って、私を逃さない様取り囲む。

「力づくでも来て頂きますぞ! お前達!」
「……」

相手は私を捕まえる事へ手を引く気ない。此方が安易に動けば、腰に下げている剣を抜いて来るかも知れない。さて、どうしたものか。

「ドラモンド様、やりすぎじゃ……」

書記官の男が冷や汗を掻きながら弱々しくドラモンドを止めようと口を開くが。

「うるさい! 悪いのは魔法使い共だ!」

ドラモンドの怒号と共に抜き出された兵士達の剣。鈍い銀色の剣先がギラギラと物騒な色を纏って、私へ突き付けられる。人を傷付けるのも厭わないか。本当に追い詰められた人間は、何を仕出かすか分かった物じゃない。『どうせ、傷付けられて深傷を負っても直ぐに治る』諦めて振り翳される剣を視界で捉えた後、そっと瞼を閉じる。しかし、一向に痛みはやって来ない。

「……?」

何故だと閉じて居た瞼を開いて見れば。美しい夜空が見える窓の向こうから近付いて来る影が視界へ映り込む。箒に跨って空を飛ぶ二人の青年達の姿。空を飛んでる。あれが魔法使い達。じっと魔法使い達を眺めて居れば、彼等は窓を擦り抜けて私の前へふわりと降り立った。大きな風を巻き上げながら。彼等は、手に持って居た箒を手品の様に一瞬で消し去ると何故か私の両側へ立つ。

「お前の言った通りだな。ヒース。まさか、魔法管理省の奴らが、賢者を攫いに来るとは」
「言っただろう。……人間達は俺達を信用しない」

私を守る様に立つ2人の青年を交互に見やる。この人達が、この世界の魔法使い達。じっと瞬きも忘れて2人の青年を見ていると1人の背の高い精悍な青年の方が此方へ振り返る。不釣り合いとと思うがされど美しい左右の違う珍しい色をした瞳。

「あんたが新しい賢者様か?」
「……」
「俺は中央の口の魔法使いのカイン。あんたを守る騎士でもある。あんたの名前は?」
『……蓮』

少し悩んだ結果、筆談ではあるものの自身の名前を告げる。カインと名乗った青年は、筆談の私を怪しむ事なく。口端を上げて優しい笑顔を見せた。

「蓮様。よろしくな。まずは、此奴等を何とかしよう」

先程の優しい笑顔とは違い不適な笑みを浮かべると腰に下げて居た剣を引き抜く。他の兵士達とは違う。良く手入れの行き届いた研ぎ澄まされた刃と見事な装飾。

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佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月8日 1時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月7日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月4日 23時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月4日 0時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)
佐倉紗南 - 続きを早く見たいです! (12月2日 23時) (レス) id: 15080ca098 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年9月24日 5時

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