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真っ向から視線を逸らす事なく彼の冷えた瞳を見詰め返す。

「……」

お互いが黙ったまま交わる二つの視線を断ち切ったのは、他ならぬ友人達だった。

「蓮ったら! 気にしないでくださいね。センパイ。あっ、用事ってなんですか? あたしたちも手伝いまーす」

どうやら友人たちは美青年の渋谷の味方へと付いてしまった。私は一つ溜息を吐く。友人よりも男かと半端呆れ気味だった。

「いや、テープのダビングだから。また、怪談する時に混ぜて貰えるかな」
「じゃ、明日の放課後! どうですか?」
「いいよ、何処で?」
「あたし達の教室! 1-Fです!」

ちゃっかり友人たちは渋谷さんとの約束を取り付けて、私達は渋谷さんを視聴覚教室に残したまま教室を後にした。


麗らかな春満開の季節。私は桜並木の通学郎を1人でに歩いて居た。今日はとてもいい天気だ。少し早めに出て来て正解だった。この満開の桜を独り占めできるなんて偶には早起きもしてみる物だな。

「……」

桜並木の端から覗く古びた旧校舎。昨日、怪談で話していたミチルの話を思い出す。もしも、ミチルの言う通り。あそこに不幸の根源があるのであれば、新しい兵隊が手に入る。

「……」

私は少し考えた末。少しだけ旧校舎を覗いてみる事にした。


旧校舎に辿り着いた#蓮#は、ぼんやりとした表情で外壁等へ視線を向ける。こうして見れば、あの噂も本当ぽく見えてしまう。ぼんやりと旧校舎を探索していると玄関扉にカメラの様な物が仕掛けられているのが視界へ映り込む。

「……?」

玄関扉を開けてみれば意外にも施錠はされて居なかったみたいで簡単に扉は開いた。中に入って、まじまじとカメラを眺める。

「……」

埃を被った下駄箱と古びた校舎の中には、余りにも不釣り合いな高そうなビデオカメラ。一体誰がカメラを仕掛けたのか。

「……誰だ!?」

聞いた事のない低い大人の男性の声音が辺りに響き渡る。

「……」

声が聞こえた方へ振り返れば、運が悪く背負っていた指定鞄が下駄箱へ当たってしまった。鞄がぶつかった下駄箱は、歪な音を立てて私の方へ倒れ込んで来る。『あ……やばい』何処か楽観的に倒れ込んで来る下駄箱を眺めて居た。

「危ないっ!」

強く突き飛ばされる感覚と大きな音を立てて倒れる下駄箱と男性の苦し気な唸り声が微かに聞こえてくる。

「っつ……」

倒れた下駄箱に沢山の埃が被って居たせいか粉塵が辺り一面を覆い視界が一気に悪くなる。私は埃を吸い込んでしまった為か、多少咳き込む。

*→←*



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クジラ大好きマン(プロフ) - 柏餅さん» お返事が遅くなりすみません! コメントありがとうございます! (2月18日 23時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 神すぎます! (12月29日 20時) (レス) id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
クジラ大好きマン(プロフ) - hiyoriさん» コメント有難う御座います! (9月8日 20時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみにしてます (9月8日 18時) (レス) @page13 id: 45d5329a9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年9月3日 4時

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