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翌朝。休日だというのに、私は起きるや否や。旧校舎へと向かっていた。別に、ナルが心配で旧校舎へ行くわけではない。ただ、個人的に。あの旧校舎には引っかかりを感じるだけだ。
「……」
いつも通り、ナルがいる実験室へ向かうも実験室にはだれもいなかった。人の気配もなくがらんとした実験室のなか。私は、首を傾げてナルの姿を探す。けれども、ナルの姿は見当たらない。
「……」
ここにいないとすれば、外にある車のなかだろうか。私は、実験室をでて、旧校舎をまわり込んで裏手へ出ると、一台のグレーのバンが停まっていた。私は、そっと車のそばへ近寄り。荷室の中を覗き込む。
「……」
車内のドアにもたれかかるようにしてナルが眠っていた。やっぱり、ここにいた。
『ナル』
コンコンと控えめに、窓を叩く。
「……」
微かな瞬きをして、眼を開ける。寝起きのためか、ナルは少しだけぼんやりとしたあと、こちらへ振り返った。
「……蓮か?」
まだ寝ぼけているのか、いつもの口調とは違って、すこし舌足らずな声音で名前を呼ばれた。
「どうした? こんな朝早くから……」
あくびを噛み締めて、ナルは首を傾げてこちらを見つめる。そんな、ナルの姿に思わず可愛いと思ってしまった。
『朝早くって……。もう、十一時過ぎですよ』
「……」
まだ、眠気が覚めないのかトロリと瞼が落ちてきている。
『……コーヒー持ってきたんですけど、飲みますか?』
「ああ……」
私は、持ってきていたステンレスボトルからコーヒーをカップへ注ぐ。
『……夕べは、なにか得られました?』
「ああ」
差し出されたカップを受け取って、ナルはコーヒーへ口をつける。
『本当ですか? それで……』
「おいっ! どーしたんだよ、実験室!」
ナルから原因は何だったのか、聞こうとしたとき。聞き馴染み
のある声が聞こえてきた。松崎たちだ。
「なによ、ボウヤ。もう、帰る準備?」
「……そうですが?」
「冗談でしょ!?」
「なんで!!」
「事件は解決したと判断したからだが」
「除霊したのか?」
「してない」
ナルは、眠たげな様子でありながらも手元にあった書類を引き寄せる。
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クジラ大好きマン(プロフ) - 柏餅さん» お返事が遅くなりすみません! コメントありがとうございます! (2月18日 23時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 神すぎます! (12月29日 20時) (レス) id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
クジラ大好きマン(プロフ) - hiyoriさん» コメント有難う御座います! (9月8日 20時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみにしてます (9月8日 18時) (レス) @page13 id: 45d5329a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年9月3日 4時