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二階の西の旧校舎から落ちた真砂子は、幸い意識混雑も見られず、意思疎通も可能だったが。二階から生身で落ちたため、救急車を呼んで、そのまま病院へ運ばれてしまった。
『真砂子が落ちた場所って。さっきのイスが動いていた場所ですよね』
「……壊されたままの西側の壁に、風雨よけのヤワなベニヤ板が貼ってあった。それが、原さんによりかかった重みで裂けたんだ」
真砂子は、病院に運ばれていく時でさえ。霊の存在を否定していた。私が落ちたのは、霊のせいではない。ただの事故だと。
「強がりじゃないの? アタシは、ここには悪霊がいると思うわ」
「お前さんが除霊しそびれたやつがな。こいつは、危険だぜ」
『そうなんですか?』
「除霊に失敗した霊は、手負いの熊と同じよ。とても凶暴になる」
『もし、その話が本当であれば。真砂子の怪我は、松崎さんの失敗が起こしたものということになりますね』
いままで反発はしなかったが。ほんの少しだけ、松崎に対して嫌味を言ってみる。
「なによ!」
キッっと目を釣り上げて睨みつけてくる松崎を、私は何食わぬ顔でしらをきる。
「早まるな。ビデオを見る限り。あれは、単なる事故だ」
『映像を見る限りは、そうですね。ちゃんとした理由があります。けれども、事故とか自 殺とかが続くから幽霊屋敷とか不吉だとか言われている……。じゃあ、なぜ。不運が続くのでしょうか? そこが不思議なのではないですか?』
霊が云々よりも。こうして、怪我人が二人もでた。霊の仕業ではないこともいないことも理解してる。けれども、言いようのない違和感が拭えない。
「……たしかに。そうだが……。でも、この校舎は、どこか変だ。納得できない。機械に反応がなさすぎる。気温の低下もイオンの偏りもないし。静電気量も正常。データは、完全に正常値を示しているんだ」
「でも、巫女さんが閉じこめられたのは? わたしが、襲われたのは? ビデオが消えてたり、ガラスや黒板や……イスが動いたのは!?」
「だから、納得がいかないといっている」
「いないフリができるぐらい強い霊かとしれないじゃねーか」
「……ぼーさんの意見は?」
「地縛霊」
「君は、ジョン?」
「わかりまへんです。そやけど、危険ゆうのには賛成です」
「そういう、おまえさんは?」
「……今のところは、意見を保留する。少し、調査の角度を変えてみようと思う。蓮。僕は、車に戻る。機材をみていろ。このマイクが車に通じてるから変化があったら呼んでくれ」
『分かりました』
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クジラ大好きマン(プロフ) - 柏餅さん» お返事が遅くなりすみません! コメントありがとうございます! (2月18日 23時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 神すぎます! (12月29日 20時) (レス) id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
クジラ大好きマン(プロフ) - hiyoriさん» コメント有難う御座います! (9月8日 20時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみにしてます (9月8日 18時) (レス) @page13 id: 45d5329a9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年9月3日 4時