色をなくした世界 (ページ23)

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ジョンとの一件が終えたあと、仕事へ取り掛かるため旧校舎内へと足を運んだ。その際、なぜだか滝川さんたちも付いて来た。実験室では、機械が自動的に動いていた。

「……こいつは……。こんだけの機材をよくまあ、集めたな」
「これだけ集めて、ムダ骨なんてご苦労様ね」
「いやあ、おれは。見直しましたよ。こんだけのモン持ってる事務所の所長さまだまからなあ。こりゃ、有能なちがいないわ」

繰り広げられる、ナルへ対しての嫌味。若いからと見下して、彼の実力を認めようとしない。けれども、ナルは気にしていない様で、煽りには煽りで返している。

「あなた方は、除霊に来たんですか？遊びに来たんですか？」

モニターを見たまま松崎たちの方へ視線を向けることなく、淡々とした様子の彼に、松崎たちは口籠る。

「これだから、子供は嫌なのよっ！」

怒った様子で実験室から出ていく松崎と不機嫌そうな様子で、松崎の後をおう滝川。ジョンは、先ほどの様子からえらくかけ離れた雰囲気に戸惑いを見せる。

「協力するのと違うんどすか？ ……ボク、こういう雰囲気はかなんのです。できるだけ、協力しますって。いてもよろしやろうか」
「どうぞ」

二人のやりとりを蚊帳の外で眺めたあと、私は釘付けになるようにモニターを見つめる。そんな、私にジョンは優しく教えてくれた。

「サーモ・グラフィーの映像、違うかなです。黄色いところは、温度が高くて反対に青っぽいのは、低いです」
『詳しんですね。教えてくれてありがとございます』

教えてくれた最後に、ジョンは可愛らしい笑顔を浮かべる。優しさで溢れて暖かな陽だまりの笑顔に、私も釣られて小さく微笑んでしまった。

「そんな……。あ、ボクはジョンと呼んでおくれやす」

褒め慣れていないのか頬を赤く染めるジョンの可愛さに、小さく微笑んだまま『私も蓮で良いよ。よろしくね。ジョン』初めて砕けた口調で話せた。

『あ……。ナル、モニターに』

ジョンと戯れていたとき、モニターに映り込んだ。今どき、珍しい小綺麗着物をきた少女の姿が視界へ映り込む。少女は、あらぬ方向を見つめて一瞥したあと、こちらへ向かってる様子が伺えた。一見、幽霊とも思えたが生身の人間だ。