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渋谷の話を聞いて私は全て理解した。矢張り、あの旧校舎には霊は居ない。全ては人の噂が尾鰭を付いて広がっていったただけ。現に、鞄の中に仕舞い込んでいる彼等が何の反応も示していない。それが物的な証拠。

『此処まで良く調べられましたね』

無表情でありながらも彼の素晴らしい情報収集能力を褒め称える。そんな、私を渋谷は『当然だと』パタリ持っていたファイルを閉じる。

「僕の情報収取能力を馬鹿にして貰っては困る」
『……そうですね。では、トラックの暴走は?』
「……」

渋谷は待って居たファイルから一つの新聞の切れ端を取り出すと、その新聞を蓮へ渡した。『……瓦礫を積んだトラックが突然暴走、バレーコートに激突した。校庭では体育の授業が行われており、生徒7名が重軽傷、2名が死亡するという惨事となった。トラックの運転手は飲酒しており……』新聞に書かれた記事と犠牲になった2名の男女の生徒の写真が切り出されて居た。

「この時は、流石に工場が中止された。例の噂のせいもあったようだが……調べた限りでは、どれも噂の域を出ないな。不吉だなんだと言う割には、どの事故も原因がはっきりしている。僕は、そんな大した時間ではないと踏んでるんだが……」
「……」

渋谷の推察通り。旧校舎の噂は、生徒達の間で度々囁かれているが、渋谷の話を聞く限り、どの噂にもちゃんとした原因があった。これの何処が一体不吉だと言うのか。どの事故も、ただ不幸が重なりあっただけに過ぎなかった。


一連の全てを渋谷から聞き終えて、旧校舎に辿り着いた。

「マイクを外して集めていってくれ。僕がスタンドを回収する」
『分かりました』

逆らうことも文句を一つも溢す事なく、蓮は渋谷の指示通り旧校舎の外に設置されたマイクを外して回収して行く。お互いが口を開く事なく黙々と作業をこなして行く中で、私の中でふと一つの疑問が浮かぶ。

『渋谷さんは、随分とお若いのに何故、この様な事を?』

若くて天才的な頭脳も持ち合わせて居るのに、何故心霊調査をして居るのか。純粋な疑問だった。

「必要とされて居るからだ」
『そうですか。でも解決出来なかった事件もあるでしょう?』
「ないね。僕は有能だから」

その自信は何処から来るのか。少し呆れた様子で渋谷を見詰める。

『凄いんですね。顔が良くてしかも有能で』

嫌味の一つを溢してやると嫌味を言ってみても渋谷は気にした様子は無く、それどころか『僕の顔、良いと思うか?」逆に質問されてしまった。

『良いんじゃ無いんですか? 皆、騒いでましたし』

確かに、渋谷はとても綺麗な容姿をして居る。

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クジラ大好きマン(プロフ) - 柏餅さん» お返事が遅くなりすみません! コメントありがとうございます! (2月18日 23時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 神すぎます! (12月29日 20時) (レス) id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
クジラ大好きマン(プロフ) - hiyoriさん» コメント有難う御座います! (9月8日 20時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
hiyori(プロフ) - 更新ありがとうございます!楽しみにしてます (9月8日 18時) (レス) @page13 id: 45d5329a9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年9月3日 4時

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