色をなくした世界 (ページ11)

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何処で怪談話をするか話して居た友人達を咎める様な鋭い声音が聞こえて来た。声の方へ振り返れば、クラスメイトの黒田が手を組んで此方を鋭い視線で見詰めて居た。

「あなた達、今話してたの何の話？」
『……今日する怪談の話をしてたんです』
「怪談ですって！？」

咎める友人を尻目で私は黒田に怪談話をする事を話した。その途端、黒田は目を吊り上げて金切り声で怒鳴った。

「……」

否定も謝罪もなく黙ったままの蓮を黒田は、更にキツく咎めようと口を開きかけた時、教室の扉から控えめなノック音が聞こえて来た。

「谷山さん、居るかな？」

扉へ視線を向ければ、今朝会ったばかりの渋谷の姿があり友人達は、色めき立つ。

「何年生？なんの御用ですか？」

黒田は突如現れた渋谷へ訝し気な表情を浮かべる。

「ああ、彼女達と約束があって」
「約束？怪談の？」
「そうだけど」

『怪談』彼の口から出た瞬間、黒田は此方へ振り返り蓮に向けて頭ごなしに怒鳴った。

「そんな事は辞めなさいって言ってるでしょ！どうりで今朝、学校来たら頭が痛くなる筈だわ」
「……」
「私、霊感が強いのよね。霊が集まってると頭痛がするのよ。今日も1日頭が痛い。霊が集まっているんだわ」

黒田は頭を抑えて溜息を一つ溢す。正直、黒田が何を言っているのか半分以上理解出来なかった。

『はあ……』
「知らないの？会談すると低級霊が集まってくるの。低級霊が集まれば強い霊を呼ぶわ。そうなったら、大変なの。だから、怪談かんか面白がってしちゃダメよ。貴方も年長者がそんなじゃ困るわ。一応、私が除霊しておきますけど」

並ならぬ霊への執着心。一体、居ない霊をどうやって除霊すると言うのか。蓮は黒田を冷めた視線で見詰めた。

「君の気のせいだと思いますか？」
「これだから、霊感のない人は困るのよ」
「……君。霊感があるんだったら旧校舎について何かを感じないか？」
「旧校舎？ああ、あそこには戦争で死んだ人の霊が集まってるみたいね」
「戦争で？いつの？」
「もちろん。第二次大戦よ。きっと、あそこには病院があったのね。看護婦らしいのや……包帯を巻いた霊も見たわ」
「……ふうん。大戦中、此処に病院が合ったとは知らなかったな。この学校は、戦前からあったと聞いたんだが、昔は医学部でも？」
「！そっ、そんなこと知らないわよ！とにかく、私は見たの！霊感のない人には分からないわ！」