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「……虎探し？」
「近頃、街を荒らしている『人食い虎』だよ。倉庫を荒らしたり畑の作物を食ったり好き放題さ。最近、この近くで目撃されたらしいのだけど……」
話を続けようとした時、ガタと大きな音を立てて椅子が後ろへ倒れた。その、大きな物音で今まで深く眠りへ付いて居た筈の蓮が目を覚ました。顔を青褪めて恐怖で表情を浮かべる敦。
「ぼ、ぼぼ、僕はこれで失礼します」
「待て」
膝を付いたまま、逃げようとする敦の首根っこを掴んで逃げるのを阻止する。
「む、無理だ！ 奴……奴に人が敵うわけない！」
「貴様『人食い虎』を知っているのか？」
「あいつは、僕を狙ってる！ 殺されかけたんだ！ この辺に、出たんなら早く逃げないと……」
逃げ惑う敦の首根っこを国木田は一度離すとそのまま敦の腕を力強く捻ると床へ押し付けた。
「云っただろう。武装探偵社は荒事専門だと。茶漬け代は、腕一本か。もしくは、凡て話すかだな」
「……っ！」
鋭い視線と身を凍らせる様な冷めた声音。ギチギチと抑えられた腕が痛む。
『独歩……』
敦を押さえ付けて居た国木田の腕を蓮が優しく掴む。
「国木田君。君がやると情報収集が尋問になる。社長に、何時も云われてるじゃないか」
「……ふん」
自身の掴んで居た蓮の手を優しく解くと国木田は、押さえ付けて居た敦の腕から手を離した。
「それで？」
「……うちの孤児院は、あの虎にぶっ壊されたんです」
強く押さえ付けられていた腕が痛むのか、敦は腕を摩りながら顔を青褪めて恐怖で冷や汗を掻きながら、小さな声で話し始めた。
「畑も荒らされ、倉も吹き飛ばされて……死人こそ出なかったけど。貧乏孤児院がそれで立ち行かなくなって、口減しに追い出された」
嫌な思い出と共に全てを話し終えた敦は、目線を下に下げて新しく出された熱いお茶の湯気を眺めて居た。
「……そりゃ。災難だったね」
「それで、小僧。『殺されかけた』と云うのは？」
「あの人食い虎……孤児院で畑の大根を食ってりゃ良いのに。ここ迄、僕を追いかけて来たんだ！」
孤児院を追い出されて空腹で鶴見川の辺りをふらふらした足取りで歩いて居た時。敦は見たのだ。此方を覗き込む金色の双眸を。
「あいつ、僕を追って街まで降りて来たんだ！ 空腹で頭は朦朧とするし、どこをどう逃げたのか」
「それ、いつの話？」
「院を出たのが2週間前。川であいつを見たのが……4日前」
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クジラ大好きマン(プロフ) - くらげさん» コメント有難う御座います。拙い文章力ではありますが、褒めて下さり有難う御座います。 (7月29日 20時) (
レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ - 文章が非常にきれいで非常に読むのが楽しかったです。更新楽しみにさせていただきます。暑い日が続いておりますが、どうか御自愛ください。 (7月29日 16時) (レス) @page7 id: fa8f980323 (このIDを非表示/違反報告)
クジラ大好きマン(プロフ) - 七星 麗華＠???，??，??さん» イベント参加させて頂きありがとうございます。作品を褒めて頂き有難う御座います！ (7月25日 19時) (レス) id: 774fe7f9f6 (このIDを非表示/違反報告)
七星 麗華＠???,??,??(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！設定からもう神ですね…更新楽しみにしています！体調にはお気をつけてください！ (7月25日 19時) (レス) @page3 id: 50853c9852 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2023年7月23日 23時
