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「おめでとうございます! 貴方が落札しました」書かれた一文を見て、間違いなく自信が落札した事を実感する。正気の沙汰では無い。

「サッカーしようぜ!」

友達と一緒にサッカーしに校庭へと出て行った佐藤の背中を見ながら、田中は鼻で笑った。もう誰にも負けるものか。そして、落札した商品の送付先のやり取りを出品者とやり取りをして、商品が到着するのを待った。けれども、1ヶ月経っても商品は届かない。

「ノークレーム。ノーリターン……」

消しゴムを待っている間に、クラス内での消しゴムブームは無情にも終わりを告げた。小学三年生なんて、そんなものだ。熱しやすく冷めやす。今の現状で消しゴムを手に入れたとしても嬉しく無かった。届かない消しゴム。出品者に騙されたと気づいたのは、親から殴られた時の事だった。

「お前ッ……親のカードで勝手に……!」
「お父さん!」
「10万なんて、何に使ったんだ!」

怒りを露わにして田中を殴り付ける父親と父親を止める母親。父親から殴られながら、田中は誰が悪いのかを考える。教師、兄、父、俺、佐藤、クラスメート、出品者、入札者、国、歴史、文明、政治、神。どんなに、考えた所で全て悪いのは俺自信。敗者がいるとするなら、やっぱり自分自身だ。


話は再び4年前に戻る。あの事件以来、田中は実像の無いもの全てを嫌った。父親から殴られたあの日のトラウマから人と競う事も嫌いになった。ゲームは1人でやるものだ。誰かと助け合いながらプレイするゲームなんて、ゲームじゃない。何か、1人で淡々と出来るゲームは無いかと探して居た時、一つのゲームと出会う。

「ズーロジカルガーデン……?」

通称『ズーデン』。プレーヤーは、動物園の園長となり、個性豊かな動物を飼育・展示をして来園者を集めて行く、育成ゲームであると共に、その成果を世界規模のランキングで競う、珍しいゲームだ。

「ふーん……。課金なしでも結構楽しいじゃん」

始めた初期の頃のゲームデータでは、ランキングの順位は酷い物ではあったが、その反面。集客が増えれば、嬉しかった。珍しい動物がガチャで引いた時は、何とも言い難い高揚感を覚えた。そして、田中にはどうしても手に入れたい動物があった。それは、希少動物で絶滅危惧種のドードー。このゲームは、動物の希少性に応じてランクが決められる。ノーマルからレア。上列があり、絶滅危惧種のドードーは、スーパーレア。無課金でも手に入るのは、入るらしいが。課金するよりかは確率はガチャ率は大幅に下がるだろう。

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作者名:クジラ大好きマン | 作成日時:2023年6月11日 23時

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