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そんな蓮へ剛力は溜息を吐き、私の肩を優しく掴んだ。そして、意味の分からない事を口走る。
「……蓮。早いとこ結婚したらどうだ」
「なんで？」
「……いや、やっぱり結婚はするな。お前が結婚したら、したで俺は寂しい」
「「……」」
結婚しろや結婚しなくて良いと告げる剛力を白川さん同様冷めた眼差しを向ける。
「……先生。次の患者さんがお待ちですよ」
「おっと。そうか。えーと。何だけ。あー。蓮が結婚したら寂しいが、結婚したら眠れるんじゃかいか」
「医者の敗北宣言？」
「強めの薬出しとくけど、これから仕事なんだから直ぐに飲むなよ」
「分かってる」
「お大事に」
診察を後にする時、白川さんの姿が視界へ映り込む。相変わらず、貼り付けた笑顔だ。白川さんが私に話しかけて来るとは妙なものだ。何かが起こりそうな予感だ。
診察も終わり駐車場へ向かうと見覚えのあるミーアキャットの警官の姿。私は、そっと警官の側へ寄る。
「……ねえ。何してるの？ 私の車に」
「おう、気にすんな」
疑い深く車内を覗き込む大門兄。
「気にしない訳ないでしょ。此れから、仕事なんだけど」
「……」
そう告げた私へ大門兄は、一度車内から視線を外すと私の側へ寄ると、私が逃げられないようにと車体へと私の身体を押し付けた。所謂壁ドンという奴だ。
「お前が、練馬の女子高校生失踪事件に絡んでるって情報を得たんだよ」
大門兄の距離の近さに視線を地面へ向ける。いつだって、この兄は距離が近い。
「……なんで、此処にいるって分かったの？」
「家にも行ったさ。まあ、車なかったし。お前の家の合鍵持ってるから開けて家に入ろうと思ったんだけどな」
「……で、車をこじ開けようと？ 随分と乱暴だね、堅志郎」
「蓮が捜査に協力したらそんな事はしない」
「……本当に、捜査なの？ これ。 なんで、堅志郎一人なの？」
「簡単な事だ。やましい事がないなら、ドアを開けてくれ」
私から身体を話して車を指差す大門兄へ、私は疑いの眼差しを向けながらも、大門兄の指示通り車のドアを開ける。
「……」
空いた車内を隈なく見ると、運転席に取り付けられているカメラへ視線を向ける。
「車内撮影ができるタイプのドライブレコーダーだよな？ 録画の保存方法は？」
「客の乗り降りや変な動きを感知したら録画するイベント録画方式だから……大体、2週間くらい」
「じゃあ、映ってるな」
「？」
「乗せたんだよ。練馬の女子高校生」
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作者名：クジラ大好きマン | 作成日時：2023年6月11日 23時
