ロンリーオンリーパラダイス ２〈完結〉

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な、何それ。何それ。

「……ほんと勝手だよ」

もうやめたいのに。

こんな風に気持ち振り回されてもしんどいだけなのに。


部屋の中に微かに香る藤ヶ谷くんのにおいとか、さっきまでいた気配とか。

藤ヶ谷くんの笑った顔とかちょっと怒った声とか。

そういうのでどうしてすぐ私の中はいっぱいになるんだろう。



「よし。こういう時こそ何も考えずにユウタを摂取しよう」

キスミーのライブのDVDの中でも特にお気に入りのやつ。

何回観ても飽きないやつ。

ユウタのくしゃくしゃな笑顔を見たら幸せな気持ちにはなったけど。

でも、今日は何となくいつもより集中できないような、気がした。





夜になって、今日は何とかしてシャワー浴びないとなあって思っていたら、みっくんから電話がかかってきた。

「病院行ったかー？」

「うん、行ったよ。ヒビ入ってなかった、ただの捻挫だった」

「そか。よかったじゃん」

「本当に昨日はありがとうね」

「何回言うんだよ、もういいって」

後ろから、北山さーん、って呼ばれてる声がする。

「みっくんまだ仕事中？」

「うん。でも何かいるものとかあったら帰り寄るけど」

「大丈夫。今日はなるべく早く帰って休んで」

「でもその足じゃ買い物行けなくて不便だろ」

「あ、今日行ったから大丈夫なの、本当に」

「もしかして…あいつ、来た？」

「え？」

「爆モテな後輩」

隠すのも変だから、正直に答える。

「う、うん。病院と買い物連れて行ってくれた」

「ふーん」


また、北山さーん、確認お願いします、って言われてる。


「みっくん呼ばれてるよ」

「うん。行くわ。他は何か困ってることねーの？」

「大丈夫大丈夫」

「風呂とか一人で入れんの？手伝いに行ってやろっか？」

「ばっ…！入れるし！」

んはは、じゃーな、って電話は切れた。


みっくんは優しいな。

一緒にいたら楽しいし。


『いーよ、ゆっくりで。言っときたかっただけだから』


あの時みっくんはあんな風に言ってくれたけど。


ちゃんと考えないと、って思う。

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