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それまで黙っていた藤ヶ谷くんが口を開く。
「そういうことだから。佐々木部長にも俺からちゃんと伝えるし。桐谷さんももうAさんにこういうことするのやめて」
「…わかりました。本当にごめんなさい」
さすがに落ち込んでいる桐谷さんを見て、もう嫌がらせもされないだろう、と思う。
「もういいよ。結果的に大丈夫だったし、私も変に誤解させてしまったとこあるし」
部屋に戻ってドロドロの浴衣を着替えて荷物をまとめると、廊下でみっくんが待っていてくれた。
「それだけ?んじゃ行こ」
荷物をひょいって持つとまた軽々とおんぶしてくれる。
「ごめんね、こんなことまで。重いでしょ」
「すげえ重い」
「這っていくからおろして……!」
「んはは、嘘だよ」
「ちゃんとお礼するから。ラーメン何杯でもおごるし」
「お、やった」
おんぶしてくれてるから表情は見えないけど、ちょっとかすれた小さな声でみっくんがつぶやいた。
「……無事でよかったよ」
旅館の駐車場にみっくんのクーパーが止まっていた。
助手席に乗せてもらうと、みっくんがエンジンをかける。
「疲れたっしょ。寝てていーから」
「さすがにそれは申し訳なさすぎるよ」
とは言ったものの。
いろんなことがありすぎて、くたくただったから走り始めた途端、まぶたが重くなっていく。
かくん、て揺れて、はっ!って目が覚める。
「いーから寝てろって」
みっくんの手が横から伸びてきて、頭をぽんぽん、ってたたかれる。
「ほんと、ごめん……みっくんが、いてくれて、よかった……」
やっとの思いでそれだけ言うと、私は意識を手放した。
・
「Aちゃん起きれる?着いたよ」
目が覚めると、見慣れたマンションの前だった。
「わ、本当に寝ちゃってたー…ごめんね、みっくん。ありがとう」
「上までおぶってく」
「いやいや、大丈…!痛っ!」
見るとますます腫れている。
「その腫れ方、ヒビ入ってんじゃね?動かさない方がいいよ」
お言葉に甘えて上まで送ってもらう。
「ちょっと休んで行く?」
「いやもう遅いし」
「みっくん家どこ?」
「世田谷の方だけど」
「今吉祥寺のラーメン屋さんのプロデュースしてるんだよね?うちからの方が近いんじゃない?泊まっていく?」
「そりゃまあ近いし助かるけど……いいの?」
「いいよ。本当にごめん、迷惑かけて」
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ニイナ(プロフ) - なっちゃんさん» 藤ヶ谷くんは元カノみいちゃんとなかなか普通のデートができなかっただろうし、手を繋いだり外でパン食べたりするのも特別だと思ってるかな、とも思います♪いいですよね、のんびり幸せ☺️最高と言ってもらえて私も幸せ💓 (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - あこさん» あこさん🥰最後までのお付き合いありがとうございました、ときめいてもらえてよかった!それぞれタイプも年齢も違う二人の間で揺れたかったので(ぜいたく)とても嬉しいお言葉です♪Love is…もありがとうです! (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - モナさん» 美stの玉森くんがかっこよくてどうしよう🤭笑 藤ヶ谷くんも素敵に書けてたら嬉しいです💓私もここでお話書いてモナさんとお喋りするのは日々の楽しみで癒しです☺️ (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - アヤさん» 幸せなふたり書くのがどうも苦手でめっちゃ時間かかったんですけど、アヤさんにそう言ってもらえてよかった💓こちらこそいつも読んでくれて素敵なコメントまでありがとうです! (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 素敵な休日の過ごし方ですね。本当に、何でもない日を丁寧に過ごしたり、とても楽しんだりすることが本当の幸せなんだなとしみじみ…。河川敷でパンとコーヒー、最高ですね☆ちょっとした「好き」を伝えてくれる藤ヶ谷くんも最高でした!ニイナさんも最高です! (2022年2月20日 18時) (レス) @page29 id: 14913c4d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニイナ | 作成日時:2022年1月17日 17時