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みっくんから、まさかそんな話をされるとは思ってもみなかった。
「み、みっくん、苦しい」
「あ、わり。つい」
みっくんの腕の力がゆるむ。
「……ありがとう。嬉しいよ」
「…じゃあ行ってくれんの?一緒に」
私はゆっくり首を横に振った。
「ごめんね。一緒には行けない。
きっとみっくんと一緒だったら海外でもどこでもすごく楽しいと思う」
「うん。俺もそう思うよ」
「でも私の頭の中。すぐいっぱいになる」
いいことでも悪いことでも。
「藤ヶ谷くんのことで。いっぱいになるんだ」
さっきの記事のことも、ずっと頭の中から消えてくれない。
今藤ヶ谷くんはあの記事を見てどうしてるんだろう、とか。
「……ダメかー」
みっくんが上を向いてちょっと笑う。
「Aちゃんがあいつのことまだ好きなのはわかってたよ。だから長期戦でいいかって思ってたのに。会えなくなるって思ったら我慢できなかったわ」
私が何も言えずにいると、みっくんが頭をぽんって優しくたたく。
「しょうがねーよ。こういうのってタイミングも大事だから」
「……ごめんね」
「あ、でも。幸せになれよ、とかかっこいいことは言ってやんない」
「え?」
「せいぜい振り回されて大怪我しねーようにな」
「…うん」
「もうリハビリ付き合えないし」
「うん」
「だから……幸せになれよ」
「言ってるじゃん!」
「あ、ほんとだわ」
みっくんは最後までみっくんで。
「みっくんのお店、これからも来るね。いつかアジア料理と和食のお店ができたらそこにも行く」
「おう。すっげー店作って後悔させてやるよ」
この人を選べない私は本気でバカなのかもしれないって思う。
そんなことを思いながら帰ってきたら。
玄関に誰かがしゃがんでいるのが見えた。
「藤ヶ谷くん?こんなとこで何してるの?」
「……Aさんを待ってた」
「え?いつから?」
「ついさっきだよ」
「嘘。とにかく入って」
家に入って、暖房をつけるとヤカンを火にかけた。
「…北山さんと会ってたの?」
「うん、まあ」
「目が赤い気がするんだけど。泣いてた?」
慌てて目をこする。
「…泣いてない」
「もしかしてプロポーズでもされた?」
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ニイナ(プロフ) - なっちゃんさん» 藤ヶ谷くんは元カノみいちゃんとなかなか普通のデートができなかっただろうし、手を繋いだり外でパン食べたりするのも特別だと思ってるかな、とも思います♪いいですよね、のんびり幸せ☺️最高と言ってもらえて私も幸せ💓 (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - あこさん» あこさん🥰最後までのお付き合いありがとうございました、ときめいてもらえてよかった!それぞれタイプも年齢も違う二人の間で揺れたかったので(ぜいたく)とても嬉しいお言葉です♪Love is…もありがとうです! (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - モナさん» 美stの玉森くんがかっこよくてどうしよう🤭笑 藤ヶ谷くんも素敵に書けてたら嬉しいです💓私もここでお話書いてモナさんとお喋りするのは日々の楽しみで癒しです☺️ (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - アヤさん» 幸せなふたり書くのがどうも苦手でめっちゃ時間かかったんですけど、アヤさんにそう言ってもらえてよかった💓こちらこそいつも読んでくれて素敵なコメントまでありがとうです! (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 素敵な休日の過ごし方ですね。本当に、何でもない日を丁寧に過ごしたり、とても楽しんだりすることが本当の幸せなんだなとしみじみ…。河川敷でパンとコーヒー、最高ですね☆ちょっとした「好き」を伝えてくれる藤ヶ谷くんも最高でした!ニイナさんも最高です! (2022年2月20日 18時) (レス) @page29 id: 14913c4d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニイナ | 作成日時:2022年1月17日 17時