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「……みっくん?なんで、ここに?」
「話はあとで。早く上ろう」
手を引っ張って立ちあがらせようとする。
「いたっ」
「足怪我した?」
みっくんが私の足元に目をやる。
「…腫れてる。それじゃ歩けねーな、ほら」
みっくんが軽々と私をおんぶして竹藪の中に戻ると、泣いている桐谷さんと、困惑したような藤ヶ谷くんが立っていた。
「Aさん、大丈夫?」
藤ヶ谷くんが駆け寄って来たけど、私が返事をする前にみっくんが口を開いた。
「どう見ても大丈夫じゃねーだろ」
「ご、ごめんなさい。藤ヶ谷さんは何も知らなかったの。すぐ上がって来れるだろうって思ったから、私、私……」
桐谷さんが泣きながら言う。
「あんたのしたこと犯罪だよ?わかってんの?」
「みっくん、もういいから」
「よくねーよ。たまたま俺が電話したからよかったけど」
「あ、でも電話途中で切れたのにどうして」
「あのなあ。あんな声で、助けてって言われて、そのあと全然電話繋がんなくて。どんだけ心配したと思ってんだよ」
「ご、ごめん」
「箱根の旅館に電話かけまくって、車すっ飛ばして来たんだよ」
旅館に着いたら、騒ぎを聞きつけた従業員の人と課長がタオルを持って玄関で出迎えてくれた。
「救急車お呼びしなくて本当に大丈夫ですか?」
「ただの捻挫だと思いますし、大丈夫です。
大事にはしたくないので」
「では今日はゆっくり休まれて明日の朝病院へ。あ、そちらの方も部屋はあいておりますので」
「いえ、明日も仕事があるんで僕は失礼します。
で、Aさん足怪我してるから明日みんなと帰るのも大変だろうし、僕が連れて帰ります」
「え?みっくん、そこまで迷惑かけられないよ」
「は?迷惑じゃねーし」
「いやでも」
「頼むからそうさせてよ。一緒に荷物取りに行くわ。
部屋どこ?」
「……あっち」
藤ヶ谷くんは何も言わずにずっと目を伏せていた。
「なあ」
みっくんが明らかに怒りを含んだ声で藤ヶ谷くんに言う。
「もう変なことにAちゃん巻き込まないでくれる?」
「Aさん、俺」
「みっくん、いいんだよ。もう藤ヶ谷くんとは何の関係もないから」
泣いていた桐谷さんが、え、って顔を上げる。
「もうただの先輩と後輩に戻ったから」
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ニイナ(プロフ) - なっちゃんさん» 藤ヶ谷くんは元カノみいちゃんとなかなか普通のデートができなかっただろうし、手を繋いだり外でパン食べたりするのも特別だと思ってるかな、とも思います♪いいですよね、のんびり幸せ☺️最高と言ってもらえて私も幸せ💓 (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - あこさん» あこさん🥰最後までのお付き合いありがとうございました、ときめいてもらえてよかった!それぞれタイプも年齢も違う二人の間で揺れたかったので(ぜいたく)とても嬉しいお言葉です♪Love is…もありがとうです! (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - モナさん» 美stの玉森くんがかっこよくてどうしよう🤭笑 藤ヶ谷くんも素敵に書けてたら嬉しいです💓私もここでお話書いてモナさんとお喋りするのは日々の楽しみで癒しです☺️ (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
ニイナ(プロフ) - アヤさん» 幸せなふたり書くのがどうも苦手でめっちゃ時間かかったんですけど、アヤさんにそう言ってもらえてよかった💓こちらこそいつも読んでくれて素敵なコメントまでありがとうです! (2022年2月21日 18時) (レス) id: 9453ebaee9 (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 素敵な休日の過ごし方ですね。本当に、何でもない日を丁寧に過ごしたり、とても楽しんだりすることが本当の幸せなんだなとしみじみ…。河川敷でパンとコーヒー、最高ですね☆ちょっとした「好き」を伝えてくれる藤ヶ谷くんも最高でした!ニイナさんも最高です! (2022年2月20日 18時) (レス) @page29 id: 14913c4d63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニイナ | 作成日時:2022年1月17日 17時