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燦然 / D.Nagami ページ8

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「将来はさ、」
『うん』


築20年のマンションの5階。
Aちゃんが選んだその部屋はすこし古くて、すこし不便な場所にあるけれど、その代わりにベランダからの眺めが良かった。

遠くの夜に滲んだ海とまばらに輝いている街の灯りを見ながら、Aちゃんは僕に身を寄せた。




「縁側のある家に住みたいな」
『あー、いいね』
「縁側で一緒にアイス食べたりしよ」
『最高やん』
「お庭で花火もしよね」
『これで老後も思う存分、夏を楽しめるね』
「あー、老後を楽しみやと思うんなんてはじめてかも」
『楽しみ?』
「うん、大吾くんとなら」
『ふふ、嬉しいなぁ』




薄暗いベランダで、Aちゃんの横顔を見つめる。

こんなに素敵な子が僕と一緒にいることを選んでくれたなんて、夢みたいでまだ信じることができない。
だけど、その手やその髪に触れる何気ない瞬間に、一気に現実味を感じて、幸せのあまり胸が痛くなる。




「大吾くん」
『ん?』
「いつも一緒にいてくれてありがとう」
『…なにそれ、急に』
「んー、なんかそういう気分になっちゃった笑」




そうやって笑うAちゃんが、とりわけ美しく、輝いて見えた。



上目遣いになったAちゃんの目を見つめながら、すこしずつ顔を近づける。この瞬間は毎回初めと同じくらい緊張するけれど、そんなぎこちない僕を優しく受け入れてくれるAちゃんに甘えてしまう。
その柔らかい唇に触れた瞬間、夢の中にいたAちゃんが突然目の前に現れた気がして、この言い表せないくらいの幸福に身を委ねていた。





「来週ね」
『うん』
「花火大会あるんやって」
『へぇ、そうなんや』
「一緒に行こっか」
『うん、行こ』
「やった、決まりね」




蒸し暑い夜、Aちゃんの髪から漂う甘い香りだけが、僕を正しく導いてくれる手がかりだった。

Aちゃんといる限り僕は幸せな人生を歩むことができて、毎日楽しく過ごすことができるのだ、という根拠のない確信が、なぜか僕の心の真ん中に確固として存在していた。



そしてその確信を、Aちゃんも感じていますように、と強く祈った。




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ABC優勝記念


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ぐり - 初めまして!雰囲気が好きですべて一気読みさせてもらいました🥹マユリカ阪本さんのお話読みたいです。時間がありましたらぜひお願いします(^^)v (5月11日 13時) (レス) id: 0e2050f731 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - いつもにやにやしながら読ませて頂いてます! リクエストなのですが、ヤーレンズの出井さんのお話お願いできませんでしょうか??哀さんのペースで大丈夫なのでよろしくお願い致します! (2023年4月22日 22時) (レス) id: 6bae7fb429 (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - 哀さん» こちらこそありがとうございました!素敵なお話でした✨ (2023年4月9日 11時) (レス) @page42 id: 4336aaf71d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まゆゆんさん» リクエストをいただいていた多田さんのお話を公開しました。コメントを読み違えてしまい、彼女設定ではありません。申し訳ございません🙇🏻‍♂️リクエストありがとうございました! (2023年4月9日 9時) (レス) id: 8ce96fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
P-398(プロフ) - リクエストです!D.Shibaさんの恋人だった主人公が事故で亡くなってしまう話を(死ネタ不可でなければ)お願いします! (2023年3月17日 17時) (レス) id: 2cc94b219c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年5月5日 10時

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