心酔 / Gaku ページ9
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向かいの席に座った彼は、居酒屋の店内の騒々しさなんて全く気にしていないかのように机に突っ伏した。
「んー」
『だから飲み過ぎだって言ったのに』
「だって…」
『まぁ、飲んで気が楽になるならそれでいいけど』
「…楽になるかって言われたら、それはわかんないんですけど」
『お酒はほんのちょっとの時間ハイにさせるだけで何も解決してくれないからね』
「むずかしいなぁ」
『そうだね、世の中ってのは』
「あー、やだなぁ」
ギリギリ聞き取れるくらいの、絶妙に回っていない舌で物を言う。
何か気に食わないことがあったらしく、今日の彼は、飲むペースがいつもより格段に速かった。
『何があったの』
「それはちょっと…守秘義務があって」
『大袈裟だね』
「とにかく、言えないんですけど」
『言ってくれないなら私も何もしてあげられないよ』
「いいんです、それは」
『ふーん』
不機嫌な彼に付き合わされたせいで、私もいつもより少し多めに飲んでしまっている。
頭にもやがかかっているような気がしながら、彼の綺麗な金髪をじっと見た。
そうしていると、その前髪の下から突然二つの気だるげな目がじろりとこちらを覗いた。それはいわゆる上目遣いというやつで、一度グッと身構えて、口からこぼれそうになった"かわいい"を必死におさえた。
「なに、見てるんですか」
『いや、そりゃ見るでしょ、向かいに座ってるんだから』
「だとしても、そんなにずっと見られたら照れちゃいますよ」
『そう言うなら、ガクくんも私のことずっと見てるよ』
「見させてくださいよ、今日くらいは」
『なんだそれ』
「綺麗だなぁって、思います」
『…はぁ？』
「あぁぁごめんなさい、やっぱり忘れてください今の」
そう言うと、再びガクくんはヤドカリのようにのそのそと顔を隠した。
『いやいや、忘れられないでしょ、今のは』
「いやーほんとに、忘れてください…」
『忘れたくない』
「…え？」
また、その潤んだ双眸をこちらに向ける。
『綺麗だよ、ガクくんも』
そう言ったら、彼はどんな顔をするのだろう。
すこしの悪戯心と好奇心が、私の心を揺さぶった。
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ぐり - 初めまして！雰囲気が好きですべて一気読みさせてもらいました🥹マユリカ阪本さんのお話読みたいです。時間がありましたらぜひお願いします(^^)v (5月11日 13時) (
レス) id: 0e2050f731 (このIDを非表示/違反報告)
とこ(プロフ) - いつもにやにやしながら読ませて頂いてます！ リクエストなのですが、ヤーレンズの出井さんのお話お願いできませんでしょうか？？哀さんのペースで大丈夫なのでよろしくお願い致します！ (2023年4月22日 22時) (レス) id: 6bae7fb429 (このIDを非表示/違反報告)
まゆゆん - 哀さん» こちらこそありがとうございました！素敵なお話でした✨ (2023年4月9日 11時) (レス) @page42 id: 4336aaf71d (このIDを非表示/違反報告)
哀(プロフ) - まゆゆんさん» リクエストをいただいていた多田さんのお話を公開しました。コメントを読み違えてしまい、彼女設定ではありません。申し訳ございません🙇🏻♂️リクエストありがとうございました！ (2023年4月9日 9時) (レス) id: 8ce96fbb9e (このIDを非表示/違反報告)
P-398(プロフ) - リクエストです！D.Shibaさんの恋人だった主人公が事故で亡くなってしまう話を（死ネタ不可でなければ）お願いします！ (2023年3月17日 17時) (レス) id: 2cc94b219c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：哀 | 作成日時：2022年5月5日 10時
