最後の時 (ページ39)

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新図書館の中は試験期間という事もありいつもより人がいた。

真面目に勉強をしに来たわけではない私達は少し浮くような。

いや、そう思うのは私だけかもしれない。

適当に空いている所に座り、「で」と話しだすゆりちゃん。

「鈴村の事だけど」

「うん」

「私はどちらかというとA側でありたいから言うね」

女友達として、という認識だろうか。

真剣な顔をした友人は、私の為にという前提で相談に乗ってくれている。

「鈴村は随分前からAの事が好きよ」

「え、それは……なんで？」

「知らない」

ゆりちゃんは可笑しそうに笑う。

「Aは鈍すぎるわ」と言われ首を傾げる。

私はそんな鈍いだろうか。

そんな事は……。

「あ、うーん。そうだねえ。あんまりそういうの、興味ないから」

「…淡泊ね」

頬杖をついたゆりちゃん。

その姿すらモデルさんみたいに様になっている。

「なんでゆりちゃんじゃないの？」

「……なぁに言ってるのよA」

厭味？と彼女は苦笑する。

決して厭味などでは無いけれど、この状況ではそう言われても仕方ないのかな。

「私どうしたら」

「告白して来たら考えればいいの。Aも鈴村を好きならAから告白しなさい」

そういう事だ。

彼女の言うとおり。

何も難しい事ではない。

中学生でもわかる。

私なんかより、中学生の方がまともな恋愛をしているんじゃないかとも思う。

そう、単純に考えよう。

頭では分かっているけれど、分かっていないんだろう。

私は深くため息を吐いた。