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9. ページ28

それから数ページ目のところで、手が止まった。

「……俺の写真?」

そこには、楕円状に切り取られた俺の写真が印刷されていた。それより先は白紙でここに来て初めて白薔薇にされる候補という扱いになるのかもしれない。
噂とはだいぶ違うようだが、そのうち噂の方が修正されていくのだろう。

「さっさとアイツ見つけないと俺がピンチってわけか……」

女子生徒はもう諦めた方がいいかもしれない、時計がないからわからないが、ここへ来てだいぶ時間も経っているはずだ。


『ねぇ。白薔薇、知らない?』


赤薔薇を探そうと立ち上がると、背後から聞こえてきた声。振り向くと、白い表紙にメタリックレッドで「赤薔薇」と印字された本を、抱えた少女が立っている。

探す手間が省けた──と、俺は左腕を伸ばした。彼女は抵抗することも無く、あっさりと捕まった。

『ふふふ、ふふ……』

可笑しい、そう思っていると彼女は笑い始める。

『あはは。……ふふっ、うふふ』

何が可笑しいんだ。

『無駄だよ……。アタシをたべても……』

「黙れよ」

ニタニタ笑いながら言葉を続けようとする彼女を握り潰し、俺は深いため息を吐いた。怪異は余程のことがなければまた新たに生まれることはないはずだ。

赤薔薇の言ったことは、嘘であるはずなのに。匂いに反して、やけにあっさりと崩れた赤薔薇を見つめながら、胸のもやもやに気づかないふりをしながら、俺は呟いた。



「頂きます」





後日談:図書室ノ赤薔薇

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作者名:さっく。 | 作成日時:2019年4月22日 16時

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