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「赤薔薇、ね」
対になるもう一人、白薔薇を探している何か。行動範囲は図書室だけなのかが気になる。
怪談の類の噂話というのは、『よく出没する場所がここ』というものを切り取って話す場合が多く、地縛しているもの以外はあちらこちら好きな場所に現れる。
今回の噂は白薔薇(こっちも女だと思われる)を探す少女の話で、よく出没するのは図書室。
質問に、「白薔薇の居場所を知っている」と答えるとそこに連れていくよう指示を出されるらしいから、図書室に地縛しているとは考えられない。
声をかけるのも図書室に遅くまで残っている生徒限定──というのが少し引っかかる。白薔薇と図書室は何か、関係あるのだろうか。
噂だけしかない状態だと、分からないことが多すぎる。
実体が無いから現場に赴いたとしても手がかりを掴むことはきっと出来ないだろう。断りたいところなのだが、これを断れば情報に見合った分の料金を今回の分まで含めて請求されるはずだ。
「……やっぱ、現場に行くしかないのか」
どうせ何も無いけどさ、と呟けばぐぅ……とまだ半分も満たされていない腹が鳴る。
ロールケーキよりカップケーキとか、マフィンとかにすればよかった、と見当違いなことを考えながら俺は跳び箱から下りた。
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作者名:さっく。 | 作成日時:2019年4月22日 16時