鬼喰イ (ページ3)

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「一人で行ってこい、懐中電灯あるだろ」

そう言って、手を振ると真木が顔を真っ赤にした。なんてことを言うんだと言いたげな、恨みがましい目で睨みつけられる。

「まさか……、高校生にもなって一人で行けないのか？」

「行っ、けますけど……。夜の学校って不気味じゃないですか、怖いんで着いてきてくださいよ」

そう言って、腕を掴んでくる。やめろ、嫌だの繰り返しの末、藤原の「行ってあげましょうよ〜」でこちらが折れることに。
自分としては早く模型を見に行きたいところなのだが、無駄に時間を食う羽目になった。

お前この野郎、と藤原を睨みつけるが彼はまるで知らん顔。オマケにぴー、ひゅーと口笛を吹く真似さえする。

「先輩、夜中に口笛吹くとお化けが来るんですよ、やめてくださいよ……」

ただでさえ怖いのに、と真木が言う。藤原は吹いてないから〜なんて屁理屈をこねるが、真木は口笛を吹いたと認識してしまったらしい。

「トイレ行ってる間に変なのと遭遇したら先輩のせいですからね！」

そう言って、女子トイレの中へ消えていく真木を見送り、もう一度お前この野郎、と睨みつける。

「やだな〜、そんなに睨まないでくださいよ。ぶちょー」

へらへらした顔が更にムカつく。頭の中でそいつを何度も殴打しながら、トイレから聞こえてくる「ちゃんと待っててくださいよー？」という声に返事をする。