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家に帰ってから、私は眠るために必要なものを検索していた。

眠る前にホットミルクを飲むとか、柔軟運動をするとか、あれこれ試してようやく眠りについたのは十二時を過ぎたくらいのことだった。


見慣れた砂浜の上に、私は立っている。

でも、今日は怖くない。だって、イサキくんが助けてくれるから。


『本当に助けてくれるの?』

『うん。ただし、俺が欲しいのは怪異だけ。それは勘違いしないでね』

だから、文句言うのは無し。という言葉が頭の中で繰り返される。


助けるって言葉は、イサキくんの口からとうとう聞くことは出来なかったけどそれでもこの悪夢を終わらせてくれるならそれでも良かった。


『迎えに来ましたよ。姫?』


ぼんやりしていると背後から声を掛けられた。聞き覚えがある──それは、私を殺す人だ。

逃げようとするが、身体が言うことを聞かない。早く離れなければ──死ぬ。


忘れていた恐怖が、私を支配する。


「やだ、助けて!」


「はいはい、呼ばれて登場!ってな」

そう言って、現れたのはイサキくんだった。

「イサキくん」

「遅れてごめんね。昼間のこと、どうやって謝るか考えてたら遅くなった」

困ったように眉を下げて、イサキくんが笑う。私が大丈夫、と答えれば彼は安心したように息を吐き、おもむろに異形の手をこちらに向けた。


彼が数歩動けば、その手は私を傷つけるだろう。

ごくり、と喉が鳴った。

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作者名:さっく。 | 作成日時:2019年4月22日 16時

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