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2. ページ12
「ユメカワー。……ユメカワ?
おい、ユメカワは遅刻か?」
遠くに聞こえる先生の声に、私はのろのろ動く。
寝不足からか、身体が重い。
まるで眠りという深い沼の中へと押し込もうとするように、自分の意思では満足に動かせない身体に鞭を打って右手を冷たい机に這わせる。
「ユメカワ出席でーす。体調悪そうなんで保健室連れてっていいっすか?」
手すら挙げられずにいた私を助けてくれたのは、普段教室にはいないイサキくんだった。耳を隠すように伸ばした髪の毛の隙間からちらりと覗く赤いピアス。
ああ、夢に出てくる王子様も彼と同じピアスを耳していた。そう思った瞬間、あの悪夢が鮮明によみがえる。
「ひっ……」
「ユメカワ?顔真っ青だぞ」
イサキくんが顔を覗き込む。彼の顔に、王子様の顔が重なって。
ふっ、と意識が遠のくのを私は感じた。
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作者名:さっく。 | 作成日時:2019年4月22日 16時