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勇気付けれたと思ったのに、小瀧くんの方を見れば、涙を堪えるように歯を食い縛って。
「泣いていいよ」と言ってもただ首を振るだけだった。
『 泣きません 』
「 すごい悲しい顔してる 」
『 でも泣きません 』
小瀧くんは口をムッとして、パッと合った目をすぐそらす。
「 どうして？ 」
「ねえ」と小瀧くんの顔を見上げれば、もう垂れてきそうな雫を抱えた瞳が見えた。
『 …好きな人の前で泣くなんて、最悪っすよ 』
目を伏せた小瀧くんに「そんなことない」と呟いた。
「 泣きたいときに泣いて、楽しい時に思いっきり笑って 」
まるでそれは小瀧くんだと思った。
だから、わたしの中の小瀧くんを壊したくなくて。
「 そっちの方がいいかな…って、 」
その言葉をきっかけに、わたしを見つめる驚いた小瀧くんの大きな瞳から、雫が一筋溢れ落ちた。
いつもは食い入るようにわたしを見るのに、立場が逆転するとわたしから顔を背けて肩を震わす。
『 もう、ほんまやだ… 』
「 小瀧くん？ 」
「あんま見んとって」と口に手を当てて、次々に大粒の涙を流した。
『 …ほんま最悪 』
「 そんなことないよ 」
『 同情なんてしなくても、大丈夫っすから 』
「 違うって 」
『 え、ちょ、Aさん…？ 』
わたしは背伸びをして、腕を伸ばすと、小瀧くんをきゅっと抱き寄せた。
彼は驚いたように固まって、耳元で「え」と声を漏らす。
「 わたし、小瀧くんのことわかってあげたいって思ってる 」
なんだかすごく上から目線になってしまったから、「よ」「うん」「…です」とぐだくだになってしまった。
まっすぐ気持ちを伝えるのって、こんなに難しいんだ。
『 …そんなん、 』
小瀧くんがわたしの肩を掴んだ。
体を離そうとしたのか腕に力を込める。
でも、無理だったのかその腕はわたしの腰に巻きついた。
『 そんなんあかんです 』
「 どうして？ 」
『 ずるいですから 』
彼の声がまた震えた。
嗚咽を少し漏らした小瀧くんに、胸が締め付けられる。
「 小瀧くんはわたしを知ってくのに、わたしは小瀧くんのことなんも分からないなんて、そっちの方がよっぽどずるいよ 」
さっきまでわたしが必死に抱き締めていたのに、彼によってぎゅうっと潰されるくらい引き寄せられる。
『 そんなん言われたら、ほんま好きになってしまいます 』
胸がぐっと締め付けられるように疼いた。
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りぃな - この作品、めっちゃ好きです。小瀧くんの一人称がおれになるときが…何て言うか、やばいです (2020年10月24日 22時) (
レス) id: 6d972d4f2d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - えむさん» ありがとうございます〜！！遅くなってしまってすみません！ (2019年1月22日 23時) (レス) id: dbd2bbadc1 (このIDを非表示/違反報告)
えむ - なんか、花男っぽいですね！たのしいです (2018年9月7日 20時) (レス) id: 3391b849bb (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - ミルキァさん» ありがとうございます〜！！アンチがいるんですけどそう言ってくださる方がいるだけで嬉しいです！(；；)ありがとうございました！！ (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
楓花(プロフ) - (さら)さん» ありがとうございます！続きは書く予定はありません(；；) (2018年8月27日 19時) (レス) id: 6fd2095d8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楓花
| 作成日時：2018年6月10日 23時
