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あの日、泣きじゃくって、
腫れあがった目をしていた彼女に、
俺は、何も言葉をかけることができなかった。
彼女からも、何も告げられることはなく、
俺たちはまた、いつも通りの日常を送っていた。
「祐希、そろそろ出ないと、時間大丈夫?」
「あーうん。あのさ。」
「うん?」
「今日、中垣内監督が視察に来る予定。」
「あーもうそんな時期かー…。」
「一緒に飯行く予定だから、帰りは遅くなるかも。」
「了解。いってらっしゃい。」
日本代表に向けての視察。
彼女は何も言わなかった。
ただ、いつも通り、俺を見送ってくれた。
俺は、一体この先、彼女に何をしてあげられるんだろう。
試合が終わってミーティングがすむと、
中垣内監督が俺を呼び止めた。
「いい調子だな。」
「ありがとうございます。」
「コンディションは悪くないな。怪我もないし。」
「そうですね。おかげさまで。」
「場所移すか。」
「はい。」
レストランで食事をしながら、今後の予定や、
今年のチームの状況など、時に雑談を混ぜて、監督としっかり話し合うことができた。
一通り話終えた後、監督は言いだしずらそうに頬を掻く。
その様子を見て、すぐに監督の意図していることがわかった。
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いろは(プロフ) - ナオさん» 読んで頂きありがとうございます!大変な思いをされたんですね。この話はもちもんフィクションですが、ナオさんが大切な人と幸せでありますようにと、願っています。逆サイドの話検討してみます! (2020年3月15日 9時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
ナオ - とても楽しく読ませて頂きました!!これ、逆サイドの話しも読んでみたいです(* ´ ▽ ` *)私、彼と同じスポーツしてるのですが、事情があって私だけ辞めてしまったんです。おまけに今、左膝後十字靭帯損傷していて、めちゃ重なって思えて、余計刺さりました。 (2020年3月14日 11時) (レス) id: d85b846b30 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - ユウカさん» コメントありがとうございます(ToT)嬉しいです!(^^)!次回作も頑張るのでまた読んで下さい(>_<) (2019年12月6日 22時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ - 更新お疲れ様でした!本当に最高でした、何回も読み返そうと思います!次回作も楽しみです! (2019年12月6日 20時) (レス) id: 18559518cb (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - ユウカさん» コメントありがとうございます(^^)励みになります!更新頑張るのでまた見て下さいね!(^^)! (2019年12月1日 6時) (レス) id: aef4d38a58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いろは | 作成日時:2019年11月24日 3時