空っぽな鉢に愛を注ぐ

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試合から3日後。

Aさんの面会許可がおりたらしいが、
俺は怖くて会いに行けなかった。




『A・・・やっぱり左膝をやったらしい。以前手術した方の足だ。』




そのあと続いた信じられない言葉に、俺は何も言えなくなった。




‟左膝前十字靭帯損傷・半月板損傷‟






マサさんのその言葉を聞いて愕然とした。


バレーが好きで、バレーに愛されてて、
あんなに努力してる人に、




こんなに酷い仕打ちをするんだって、






俺にはかける言葉も見つからなかった。







イタリアへ帰る期間が目の前に迫ってきている中、
マサさんが見かねて俺を病院まで引っ張って来た。







「いや、でも、俺・・・。」


「Aが手術を受ける前に、会ってやって。」


「俺より、マサさんの方が、」


「・・・祐希、俺とAは祐希が思ってるような関係じゃない。」


「え・・・、」


「いとこ同士なんだ。親戚だって言うとまたメディアに騒がれてめんどくさいからって、Aはメンバーとかにもほとんど公表してない。
うち、離婚してるだろ、Aは父方の親族だから、そういうのも気を遣ってくれてた。だから、





Aが今、本当に会いたいのは、祐希だと思う。」









行ってやってほしい。









あとは、自然と足が動いた。


何を言おうかなんて、
何も考えられないけど、



ただ、貴女に会って、



貴女を抱きしめないといけないと思った。

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