檸檬３

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ついに姉さんの遺体が海を越えて、
UDIに運ばれてきた。



もちろん、私と中堂さんは、関係者のため、
立ち入ることもできず、

解剖室の外から解剖を見守った。





解剖中、中堂さんは、何も言わなかった。


私もただ、ただ、それを見守ることしかできなかった。









解剖が終わった後、姉さんの遺体に触れてもいいと許可がでたので、
解剖室に入り、８年ぶりに姉さんの顔を見た。


解剖室には、気を使ったのか、私と中堂さん、そして姉さんだけになっていた。






顔を見た瞬間、あの日の光景がフラッシュバックし、
一瞬、強い吐き気に襲われるが、

中堂さんが、「大丈夫か？」と私の頭を撫でた。








「８年前も前なのに、綺麗なままだ、」


「あぁ。」


「日本にも、死化粧師はいますが、海外のエンバーミング技術は凄いです。」


「そうだな。」


「・・・・・知ってますか？」


「・・・・？」


「エンバーミングは、ご遺体をほぼ無菌状態にしてくれます。感染症にかかって亡くなったご遺体もエンバーミングすれば触れることができる。」


「・・・・・・・・、」


「触ってあげてください。」









中堂さんは、あの日と同じように姉さんの髪の毛を触り、頭を撫でた。








そして、そっと唇にキスを落とした。









それは、悲哀のキスか、

それとも、謝罪のキスか、




それとも、決別のキスか、









永遠の愛を誓う、

約束のキスか、









ただただ、その光景は、



寝ているお姫様にキスをするような、









そんな美しい光景だった。

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