槐安の夢。 ページ10
久しぶりに懐かしい夢を見た。
「うう…っ、ほんとショック……もう無理…」
あのとき、なんでモモはあんなに泣いていたんだっけ。随分前、モモの部屋で、テレビか何かを見てて───たしか私は横で勉強してただけできちんと見てなかったのだけど。
『大丈夫？モモ』
顔を覆うモモに声をかけると、ゆっくりと顔を上げて、口を開いた。
「Aのせいで、×××は死んだんだよ。」
温度を感じさせないその声に、ゾクリと背筋が冷える。これは、モモじゃない。だってこんな冷たい目をあの子はしない。
そう思って一歩下がると、どん！と背中が何かにぶつかってバラバラと本が上から降ってきた。
その中に見覚えのある表紙を見つけて拾う。
" 異世界人について "
なんでここに、と思って顔を上げて固まる。
さっきまでそこにいたモモはいなくて、いつの間にか白ひげ海賊船のみんながそこにはいた。
「役に立たないくせに」
みんながみんな、感情が抜け落ちたような顔をして、淡々と呟く。
「なんのために乗せてやってたと思ってるんだ」
いつもここの人達は喜怒哀楽が激しくて、こんな顔、見たことない。こわい。
だけど、何も言えない。
なぜなら───
「おまえのせいで」
私のせいで、人が死んだから。
サッチさんは、怪我をしたから。
でも、白ひげ海賊船のみんなはそんなこと言わない……いや、本当にそうかな。
そういえば前に、隊長さんたちが集まって会話してたのが聞こえてきたことがあった。おそらく私が人攫い事件に巻き込まれ直後くらい。
たしか…本がなんちゃら、それが本当だったら、とか話してた気がする。
あれは、私のことだったんじゃないか？
そう考えれば辻褄が合う。
不意に一歩前に進み出たのは、いつもの溌剌とした笑顔も何もかも抜け落ちたようなエース。
空っぽの瞳が怖くて、一歩下がろうとしてぶわりと下から風が吹きつけた。後ろを見ると、そこは断崖絶壁で、下には真っ暗な海が広がっていた。
「価値のないお前なんて、いらない。」
そのままトンっと肩を押される。
その力に抗う気もなかった。もういい。足場を失った体はふわりと重力に従って落ちていく。
( やっと、)
終われる。
そう思った瞬間、崖の上から女の子が見下ろしているのに気づく。その子とばちりと目が合った。
───あれは、「私」だ。
「だめだよ。気づいてるでしょ？」
いやだ。
「貴女は、死ねないよ。」
.
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xxxxxers(プロフ) - 本当にワンピースミリしらでタグにトリップと書いてあったので興味本位で見てみたんですけどなんとこんなに面白くて考えさせられるお話だとは！！！もう本当にあとがきで書いてあることって事実だなーって思って涙が止まりませんこんな素敵なお話ありがとうございました (4月27日 22時) (
レス) @page50 id: 13f4a23a05 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
