三十六計。 ページ4
本に集中していて周りの物音なんかにも全く気を配っていなかった私は、突然の破壊音にビクッと体を揺らした。
薄暗かった部屋に廊下の光が入ってきて、目を細める。視界に、ふたつの影がゆらりと入り込んできた。
「…あァン？なーんか物音がしたと思ったら、女じゃねェか！」
「白ひげ海賊団にナース以外の女ァ？」
一瞬警戒するような素振りをみせた男達だったが、私が弱そうな女だと認識した瞬間、下卑た笑みを浮かべて舐めまわすように見てくる。
「だれかの所有物とかじゃねェ？」
「まぁこんだけ男がいればそういう女のひとりやふたり乗せてるかァ！」
ぎゃははは、と下品な笑い声が狭い部屋に響いて思わず顔をしかめる。
「でもよォ、こんな一番奥の部屋に匿ってたってことは……使えるんじゃねェか、コイツ。」
「遊んでやってもいいけどそっちに使った方が良さそうだなァ！」
近づいてくる男達から逃げるように座ったまま後退する。ドン、と背中が壁に当たって、これ以上逃げられないことを知った。
「こいつが万が一仲間だとしたら、"仲間を大切にする白ひげ海賊団"だ！上手くいきゃあ…」
にやり、と笑う男。
伸ばされる手をぱしん、と払い除ける。
『……私は、この船にとって…何の、価値もありません。』
異世界人なのに、未来もこの世界のこともろくに知らない私に価値はない。みんなは私が知っていると思ってるなら、私を助けようとするかもしれない。
だけど、あいにく私に価値はない。
それでみんなが傷つくのはごめんだ。
「いいから付いてこいよ、お嬢ちゃん？」
今度こそグッと腕を掴まれる。
その力の強さに、思わず顔を顰めた。少しでも力を込められたら折れてしまうのではないかと思うほどのそれに、力の差を思い知らされる。
『い、やだ…！』
怖い。この男が？───いや、違う。
人攫いにさらわれたときも助けにきたあの人たちは、また助けようとしてくれるんじゃないか？
でも、それは、私に付属してる価値を失いたくないからだとしたら。もしそんなものを持ってないことを確信したとき、彼らはどう思う？
男から逃れるようにがむしゃらに足を蹴りあげた。
「このクソアマが…！優しくしてたらつけあがりやがって！」
もう一人の男が懐から何か取り出した。光に反射して怪しげに光るそれは、こちらの世界に来てからか随分と馴染みになったもの。
「大人しくしろ！」
銀色の銃口が、ガチャ、と向けられた。
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xxxxxers(プロフ) - 本当にワンピースミリしらでタグにトリップと書いてあったので興味本位で見てみたんですけどなんとこんなに面白くて考えさせられるお話だとは！！！もう本当にあとがきで書いてあることって事実だなーって思って涙が止まりませんこんな素敵なお話ありがとうございました (4月27日 22時) (
レス) @page50 id: 13f4a23a05 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
