ピースが、ひとつ。 ページ29
言い募っていくうちに、途方もない虚しさに襲われた。こんなこといっても、きっと、何も変わらない。
こうやって負の感情を相手にぶつけるのなんていつぶりかな。とても疲れるから、自分が嫌になるから、したくないのに。
『……すみません。今日は一人にしてくれませんか。』
黙ったままのクザンさんに、震えそうになる声を振り絞る。エースのことはまだ受け入れられてない。とりあえず、色々と考えたい。
「これ、使い方わからないから聞いて来い、って言われたんだけどまた今度ね。」
そう言われて渡された携帯を受け取る。やっぱり電源の付け方が分からなかったのか。
ガチャ、と閉じたドア。
久しぶりに携帯の電源をつけてみる。ロック画面はモモとの卒業式の写真。
(モモ凄い泣いてたな……懐かしい。)
現実逃避のようにぼんやりと考える。ふと、何かが心に引っかかった。
(エース、処刑、海賊王……なんだっけ、これ、モモが泣きながら何か言ってた…)
暗証番号を入力し、いつも使っていたトークアプリを開く。藁にもすがる思いで、検索のところに「エース」と入力してみる。
『あった…！』
何かヒントがありますように。そんな思いで、トーク欄をタップする。
モモどうしようホント無理!!!
Aなに?どうした?
モモ週末アニメに付き合ってください…一人じゃショック死する……お願い…
A来週模試だから教材片手でいいなら。というかその場にいるだけになるかもよ?
モモ全然いい!!うっ…エースがぁぁ!
Aエース?
モモ(´;ω;`
Aとりあえず付き合うよ。
モモA大好き模試前なのにごめんねありがとう
A大好きが軽いぞ!おやすみ
モモふふ、ほんとだもん!おやすみー!
日時を確認する。かなり昔。この時か……たしか、この模試のときにワンピースみたな……なんだっけ……
その時使っていた教材、していた勉強から、記憶を紐解くように少しずつ捻り出していく。勉強メインだったから、ぼんやりとしか覚えてない。
(そうだ、たしかにエースは処刑台にいた、)
(それで、白ひげ海賊団のみんなが助けてに来て、麦わらのルフィも助けに来て、)
「愛してくれて、ありがとう。」
ああ、あの有名な名ゼリフは────
────エースは、死んだんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2715人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (
レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 凄く感動しました、エースとオヤジを生存させてくれてありがとうございます (2023年3月23日 7時) (レス) id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
