正義の旗を。 ページ22
「入っていいぞ。」
ガチャ、とうしろでドアが開く音がする。振り向く必要性を感じなかったから振り向かなかったけど。
「それが例の子？まだ子供じゃないですか」
……あれ、今の声、どこかで。
なんとなく聞いたことあるような声に思わず振り向いて、視界に入ってきた姿を捉えた瞬間、目を大きく見開いた。
『あのときの、』
「あ！」
フローラ島。あの、どこまでも平和で美しい島。
財布を落として、拾って届けて、お団子奢ってもらって、軽く人生相談みたいなものに乗ってくれた人。
「えっと…Aちゃん、だったけ？え、なんでここに…ってもしかして、」
「なんだクザン知り合いだったのか？この子が"異世界人"だ。」
元帥さんの言葉にまじで、と呟いたクザンさん。
「そいつは海賊におったんじゃろう…クザン貴様海賊と馴れ合ってたんか！」
「いやいや知らなかったしこんな子が白ひげにいるなんて誰が思うのよ。」
「おォ〜〜……たしかに思わないねェ」
目の前でぽんぽん交わされる応酬に、完全においてけぼりだ。 この人海軍の人だったのか。到底お役人タイプには見えないけど…。
思わぬ偶然に固まった私に、クザンさんが話しかける。
「ってかなんで異世界から白ひげ海賊団にいる流れになったの？」
『……流れ、というか。元の世界で事故にあって気づいたらあの船の上にいたんです。』
あのとき、いい人だと認識してしまったせいか、口からポロリと零れ落ちた。その言葉を拾ったクザンさんが、元帥さんの方を見る。
「ってことは不可抗力なんじゃない？海賊ってのは情状酌量かけたげてもいいでしょーよ。」
不可抗力。その言い方だと、仕方なく白ひげ海賊団にいたみたいだ。最初は確かにそうだった。死にたくても死ねなくて、海の上だからどこにもいけなくて、仕方なくそこにいた。でも───
『……クザンさん、私、幸せだったんです。それに気づかせてくれたのは、貴方でしょう。だから、不可抗力、ではないです。私は自分の意思であそこにいました。』
「ふん、海賊なんぞに毒されおって…」
赤の、胸にバラをさした人が忌々しげに呟く。
『海賊なんぞ、ですか。』
あなたたちにとっては、そうだとしても。
『……知らない場所に飛ばされて、厄介でしかない私に居場所をくれたのはあの人達です。
あなたに、私のこの気持ちを否定できるんですか。異世界人というだけで、罪人のように扱うあなた達に。』
そんな正義、くそくらえだ。
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アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (
レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 凄く感動しました、エースとオヤジを生存させてくれてありがとうございます (2023年3月23日 7時) (レス) id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
