揺り篭の安寧。 ページ18
あれから、何日たったのだろう。
光も入らず、時計もなく、ずっと寝ている私には時間の経過が全くわからなくなってしまった。
あれからは、ティーチさんじゃなくて黒い帽子を被った人だとか、片目がレンズの人とかがご飯を持ってきた。
ほんとうにずっと寝ているから、部屋に誰かが入ってきた音でぼんやりと意識が戻って、薄ら目でその誰かを確認して、また目をつぶる。
「あなた、寝すぎだし何も食べないなんて、病気ですかねぇ。」
帽子の人に初めて話しかけられたときは、少しだけ意識がはっきりして、もぞりとベッドから緩く身を起こした。
『…お腹、空かないんで、ごはんいらないです。』
「人間は食べないと死ぬんですよ。貴女が死ぬと困るんです。」
『…はあ』
別に、こっちはあなた達が困ろうが関係ないしどうでもいい。その気持ちが伝わったのか、彼は大きくため息を吐くと出ていった。
( 本当に生きることを諦めると、人間はこうなっちゃうんだなぁ。)
本当に、びっくりするくらいエネルギーが湧いてこない。だるい。うつらうつらと襲ってくる眠気に負けて、また眠りにつこうとしたとき、派手にドアが開いた。
「飯食わねェんだって？」
『……ティーチさん。』
「お前に死なれたら困るんだよ。
…そうだな、食わなかったら白ひげ海賊団のやつらに何があるか分からねェぞ？」
……それは、いやだ。
ため息をついてゆっくりと体を起こし、枕元のテーブルに載せられていたトレーをずる、と引き寄せる。
冷たいスプーンで生温いスープを口に運ぶ。久しぶりにものを胃に入れたからか、思わず噎せそうになったけどとりあえず飲み込んだ。
私がトレーにのった食事を食べ終わるまで、ティーチさんはずっと立っていた。
無理やり食べ終わったあとティーチさんを見上げると、ティーチさんは気味が悪そうにこちらを見下ろしていた。
「…人形みてえだな。」
……あなたが私に、人間らしく生きろというの。
無感情な目で見つめ返す私に、「飯は食え、わかったな」と、それだけ言うとトレーを引っつかんで出ていった。
それからは無理やり食事を喉に入れ、寝るだけの日々。味なんてしない。ただ、死なないため。
死んでもいいけど、私が死んだらティーチさんが何するか分からないから。
ゆらり、ゆらり。
揺り篭に揺られるように、ただ眠る。
───それからしばらくして、私は海軍本部に引き渡された。
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xxxxxers(プロフ) - 本当にワンピースミリしらでタグにトリップと書いてあったので興味本位で見てみたんですけどなんとこんなに面白くて考えさせられるお話だとは！！！もう本当にあとがきで書いてあることって事実だなーって思って涙が止まりませんこんな素敵なお話ありがとうございました (4月27日 22時) (
レス) @page50 id: 13f4a23a05 (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ(プロフ) - お話自体も泣けるしあとがきで追い討ちかけてきた…最高すぎる作品です…‼︎ (2月28日 22時) (レス) @page50 id: 0ce3ef1535 (このIDを非表示/違反報告)
ミキ(プロフ) - この話凄く好きです！最後の方泣きそうになりました笑他の作品も読んでみたいなって思いました！ (2月3日 6時) (レス) @page50 id: 8f0b2947d1 (このIDを非表示/違反報告)
ロイ - すんごくよかったです！ワンピースの作品を読んだのは初めてなんですけど、面白かったです！夢主ちゃんの優しいところがすごく好きです！ありがとうございます！ (9月2日 12時) (レス) @page50 id: 97a54b5f8a (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの(プロフ) - 何年も前に読んだこの作品の内容をふと思い出して、必死に検索し続けてようやく再会出来ました。最後に読んでからこんなに年月が経っているのに、また読みたいと思わせてくれるような作品を作ってくれて本当にありがとうございます (8月7日 0時) (レス) @page50 id: 0f8f6ed9fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2018年2月3日 9時
