狼子野心 ページ44
翌朝、朝一番マルコさんの元へ掛け合った。
「書類仕事？」
『はい。"甲板に出るな"と言われてるので？やることがないんですよねー。』
少しだけ嫌味たらしい私の言葉にマルコさんがすっと目をそらす。…やはり犯人はお前か。
「…別に、Aもずっと働いてなくてもいいんだよい。」
こういうのホントは慣れてねえだろい、と小さな声で付け足された。
あー…なるほど。私が頑張りすぎてるのではないかと気を使ってくれたところもあったのね。
気持ちはありがたいけど、甲板で働いてたのは「目的のため」だし、それに…
『それは、ダメです。お世話になっている以上、何もしないわけにはいけません。』
だって、私達は他人なんだから。
家族なら、親戚なら、親しい友人なら。
それなら、そういう形もアリなのかも知れないけど。私達はそんなもんじゃないし、一方的に甘えていい関係でもない。
ボーダーラインはしっかりと。
その気持ちを込めてはっきりと言うと、マルコさんは少し顔を顰めた。
「お前はまだ１６で、おれ達は大人だ。もう少し甘えてもバチは当たらねェよい。」
『赤の他人なのに衣食住の確保をしてもらっている。充分、甘えさせてもらっています。』
「あのなァ…」
『それに、単純に皆さんのお手伝いがしたいんです。』
それも、また事実。
ふと、マルコさんが息を吐いた。
「…まぁ、正直書類仕事を手伝ってくれるのは助かるよい。」
『やり方さえ軽く教えてくれれば…あ、見てはいけないものもあると思いますけど、それには触れないので大丈夫です。』
海賊だもんそういうものもあるでしょ。
「…書類仕事が苦手な奴なんて山程いる。おれから手伝いが必要か声を掛けた方がいいかよい？」
『いや、自分で声を掛けてみます！ありがとうございました。』
ぺこりと頭を下げて、仕事を見つけるために踵を返した。
＊＊
別に、Aに情報を見せられないわけじゃない。
言いそびれた言葉を、口の中で咀嚼する。
(それにしても、もちっとどうかならないもんか…)
頼らず、甘えず。あの年の少女なんて、甘えるのが仕事のようなもんだろーが。
Aが思ってる以上にこの海賊団はAを気に入っているのだから、もっと甘えても皆喜んで受け入れるだろうに。
人当たりがよく、笑顔で、だけど、ぼんやりとしているようで明確な境界線を引いている。
(…懐かねェ猫みたいだな。)
Aの背中を見つめながら、そう思った。
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勿忘草 - 突然道徳の授業が始まって吹きましたw (2020年7月12日 12時) (
レス) id: a69079c5f6 (このIDを非表示/違反報告)
Y.K - 900個目の投票しましたww (2020年6月19日 20時) (レス) id: 9536630108 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - これで三周目 (2018年12月26日 11時) (レス) id: 56d3c1a18a (このIDを非表示/違反報告)
もちチーズ(プロフ) - りんごさん» 口先三寸というのは間違った日本語で舌先三寸というのが正しい日本語です！間違った日本語を披露してお恥ずかしい…！御指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。 (2018年2月4日 14時) (レス) id: 0cb5a701fd (このIDを非表示/違反報告)
りんご - 口先三寸って舌先三寸じゃないんですか？？間違っていたらごめんなさい。 (2018年2月3日 17時) (レス) id: a064980027 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちチーズ
| 作成日時：2017年10月22日 11時
