◆2112. 螺旋 ニ 流レル鮮血 ページ7
No said.
『こんな暗闇の中はぐれたらあれですし、ジャミル先輩、はぐれないようにジャミル先輩の髪を掴んでいいですか?』
ジャミル「もっと掴みやすいところがあるだろうが」
ジャミル・バイパーはAに構わず、声がする方向からAが立っている場所を予想し、手を引いて足を動かしたその時だった。
ぬるり
掴んだその手から、そんな感触がした。
生温かく、粘着質なそれは掴んだはずの手を滑らせ、ジャミル・バイパーの手中からすり抜ける。
ジャミル「?」
ジャミル・バイパーは疑問に思いながら、見えもしない自分の手を凝視する。
けれど、そこから鼻につく鉄のような匂いに、ジャミル・バイパーはハッ、とAの方に振り向く。
ジャミル「…………君、怪我をしているのか?」
『え?』
ジャミル・バイパーは咄嗟に魔法で小さな光を灯し、Aを照らせば、彼女の腕には獣が引っ掻いたような爪痕があり、その爪痕から赤い液体が細い腕を螺旋状に伝って指先からポタポタと床に落ちていく。
その光景にジャミル・バイパーは驚愕し、Aですらも仰天する。
『うわ、わ、ち、血! 血が、出てる!?』
ジャミル「いや普通こんな昏がりでも気づくだろ」
『いや、たしかに襲撃を受けた時なんか攻撃されたなー、とは思いましたよ? でも傷自体はそんなに痛くないですし、擦り傷程度かなって』
ジャミル「鈍感すぎやしないか!?」
『あ、でもなんか自分が今流血するほど怪我してるって自覚したら激痛が……』
ジャミル「まずは合流するよりも応急処置だな。 壁際に寄ろう」
魔法で灯された光で敵に見つからないようファントムのケージで影になる所を選び、壁を背に、Aをその場に座らせると、ジャミル・バイパーはマジカルペンを取り出す。
ヒール魔法でAの傷口を塞ごうと試みるが、Aはそれをジャミル・バイパーの手を掴んで止める。
ジャミル「君、」
『僕のために魔力を消費しちゃあダメですよ、ジャミル先輩。僕はそっちでいいです』
Aがそう言って指差したのは、ジャミル・バイパーが格納庫から出る際、念のために持っていた携帯食料や応急処置用の消毒液、包帯などが入った袋だった。
ジャミル「だが魔法で傷口を塞いでしまったほうが痛みはなくなるぞ。こんな時に痩せ我慢をするな」
『うーん……』
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冬雪(プロフ) - たまごっちさん» コメントありがとうございます。これからも夢主達のことを見守っててくれたら嬉しいです (2022年8月12日 15時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
たまごっち - "男"の手は彼女達をすり抜ける。……ということはもう、お父さんって…あぁぁぁ、続きが楽しみすぎる!!!夢主ちゃんとイヴちゃん、幸せになって…(泣) (2022年8月12日 11時) (レス) @page37 id: 761df69c60 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - とうもろこしさん» コメントありがとうございます。父親参戦です (2022年8月12日 9時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
とうもろこし - お、お、お父さん!?!?夢主達、少しづつ記憶を取り戻してきてるってこと…? (2022年8月12日 9時) (レス) @page37 id: 761df69c60 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - トワさん» コメントありがとうございます。ふとした時に雰囲気変わるスカラビアいいですよね。頑張ります (2022年8月11日 22時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2022年7月23日 0時