◇1702.億劫 ページ30
.
『(鬱陶しいなぁ……)』
視界が完全に前髪で７割塞がれた状態でメインストリートを歩く。
魔法薬学が終わった後、合流したエース達には最初は笑われたものの、事情を話せば気を遣われた。しんどい。
イヴが少しでも負担にならないようにと髪を纏めてくれたが、どちらにせよ地面に引き摺る形になってしまっているため、不便他ならない。
放課後になった今、僕は自分の足で鏡舎へと向かっているわけだが……。
『(ちくしょう……あの変態狩人め)』
なんであんな物を入れたんだ。
間違って僕以外の奴が摂取していたらどーするつもりだったのだろうか。
『(いや、それとも結果が見れれば誰でも良かったのか……？)』
ヴィル先輩がもしあの時魔法薬を飲んだとして、変態狩人がやらかしたと知れば、ただじゃ済まさないだろうし、ターゲットがイヴかグリムだったら支障はないだろうが、僕が許さない。
『(わっかんないなぁ……)』
そもそもクルーウェル先生に怒られるってわかってんのに、わざわざあんな事をする変態狩人の思考が理解出来ない。
善人と悪人の境目がわからん。
考え事をしていると、自分の髪を踏みつけ、バランスを崩した僕はその場に転んだ。
今日は厄日か。
リドル「……大丈夫かい？」
トレイ「盛大に転んでいたが、怪我はしてないか？」
しかも見られていた。厄日だ。
顔を上げれば、リドル先輩とトレイ先輩が僕を見下ろしていた。
２人から声をかけたくせに何故か２人は僕の顔を見るなり目を張った。
リドル「なっ！？ Aかい！？」
『Aです』
リドル「髪が長すぎて最初誰だかわからなかったよ。エース達から聞いた話は本当だったんだね」
自分達の寮に戻る途中だったのだろう。
たしかに帰り道にこんな毛むくじゃらが道の真ん中を歩いてたら不審に思うだろう。
僕はとりあえず上半身だけ起こす。
髪が重いため、立つのでさえも億劫だ。
トレイ「男にしては綺麗な髪だから、御伽噺に出てくる塔の上に住むお姫様かと思ったよ」
『茶化すな茶化すな。
こちとら、君の相方に魔物の毛を盛られて現在進行形で大変な目に遭ってんだからな』
トレイ「ルークの相方はどちらかといえばヴィルのような気がするが……。 でも話は聞いてる。 でもあまり怒らないでやらないでほしい。 あいつもきっと悪気があってやったつもりじゃないだろうし」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 183人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。そこまで褒め潰されてしまうと照れてしまいますねえ。とても嬉しいです (2022年5月9日 22時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 悪役だけを。を読んでもっとツイステが好きになりました。それぞれの主人公達に対する感情が細かく書かれていて何度も読み直しました！無自覚だったり少し歪んでいたりNRC生らしさが出ていて二次創作の中で1番キャラ達の性格が原作に近いと思っています！ (2022年5月9日 1時) (レス) id: 8cb660ee08 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 乙女になりたい。さん» コメントありがとうございます。頑張ります (2021年12月25日 12時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
乙女になりたい。(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです！無理せずに応援してます！ (2021年12月25日 3時) (レス) id: 164d74e16c (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 猫太郎さん» コメントありがとうございます (2021年11月28日 17時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2021年11月14日 0時
