◆1624.見つけた ページ36
イヴ.
トレイ「さっきとはまた違う市場に来たな。こんな場所にマレウスが１人でいるのか？」
ジャミル「はい、間違いありません。すぐ近くにいるはずです」
ジャミル先輩の後をついて行くと、ラクダバザールから少し遠く離れた場所までやって来た。
露店よりも建物のお店が多いそこは、あまり太陽の光が通らない薄暗い場所だけど、いろんな色に光るランタンや、黄金に輝く食器などがあり、明るい場所には違いはない。
しかしラクダバザールと変わらず、ここも人が多い。 ツノ太郎くんほどの身長であればすぐ見つかるとは思っていたけれど、頭に荷物を乗せて歩いている人もいるため、なかなか見つからない。
イヴ「何処にいるんだろうね、ツノ太郎くん……」
『……見つけた』
イヴ「え、Aちゃん！？」
突然走り出したAちゃん。
人混みをかき分け、Aちゃんは躊躇無く��その人��の手を掴んだ。
『ツノ太郎！！』
マレウス「＿＿！ A？」
ツノ太郎くんはAちゃんを見ると、目を張り、そして私達の方にも目を向けた。
イヴ「よ、よかったぁ……無事で」
マレウス「みんな、どこへ行っていたんだ。随分探し回ったぞ」
『探し回ったのはこっちもだっつーの！ いや、目を離した僕らも悪いんだけど。 とにかく、もう僕らから離れようとしないで……』
マレウス「む。わかった」
素直に頷くツノ太郎くん。
ケイト「マレウスくん！？ うわっ、ホントにいた！」
トレイ「やれやれ……。いきなりいなくなるから、なにかあったら大ごとだと心配したよ」
ケイト「マレウスくんが怪我をしたりするとは、思っていなかったけどね〜」
トレイ「むしろ��絹の街��が無事でよかった」
マレウス「どういう意味だ、それは」
今度はムッ、とした表情を浮かべるツノ太郎くん。
とにかく、本当に何事もなくて良かった。
今なら少しセベクくんの気持ちがわかる。
たしかにツノ太郎くん、すごく見失いやすい。
ジャミル「ともあれ、何事もなかったようですね。ホッとしました」
イヴ「それにしても、よくここまで１人で歩いてこれたね、ツノ太郎くん。私達がいたラクダバザールから少し距離があるのに」
マレウス「いや、僕１人ではないぞ」
イヴ「え？ それってどういう……、」
カリム「みんなと合流できてよかったなー、マレウス！」
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作者名：冬雪
| 作成日時：2021年9月7日 0時
