103.塗リ足サレル色 ページ7
カラ松.
カラ松「(なんだ、これ…)」
室内に入り、酷い頭痛で足がよろけ、上手に足が動かなくなり壁に肩を寄りかからせる。
さっきから頭の中では、誰かの姿を頭に思い浮かべては、壊れたテレビ特有の砂嵐が流れる。
その感覚が、とても気持ち悪い。
カラ松「(痛い。頭が割れる)」
その瞬間、頭の中で繰り返される映像が今度は何処かの街の風景に変わり、隣を見れば制服を着た女の子がいた。
そして、その少女が俺に語りかける。
『また頭がカラッポって言われたの?』
カラ松「………あ」
何かの糸が切れたみたいにその言葉は俺の頭の中で跳ね返し、そしてついには曖昧だった少女の顔が鮮明に映し出された。
『カラ松くんは演劇部で頂点を目指すんでしょ?』
『演劇の大会で優勝してからカラ松くん、モテるようになったよね。幼馴染として鼻が高いよ』
『カラ松くんは、遠くに行っちゃうのかな…』
数々の少女との思い出。
でも俺は、幼馴染の女の子はトト子ちゃんしかいなくて、そして学校なんて行った記憶もない。
でも頭の中で語りかける少女は確かに本物で、優しく微笑むのその笑い方も少し心配性の所も兄弟達と違って無視したりしないでちゃんと俺の目を見て話してくれるところ。
全部、彼女に似ている。
カラ松「(違う、これは…)」
彼女だ。
でも、なんで彼女は俺と学生生活をしているんだ。
こんなの知らない。
俺は何を見せられているんだ。でも、どこか関係ないとは言えない思い出ばかりだった。
そして、また新しい映像では何故か俺は少女の後を追いかけて。
ダメだ。
俺は何故か、その先を知っている。
そして伸ばした腕は彼女の肩に届いたと思えば、信号は赤に染まっていて気づいたら、俺達は迫るトラックに気づいていなかった。
『………ごめんね、カラ松くん…』
全て、思い出してしまった。
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作者名:雨雪 花 | 作者ホームページ:http://HI.END.WOLD 1017
作成日時:2018年3月10日 0時