◆245.逃走中 ページ7
.
フロイド「待ってよー」
『誰が待つか！』
まだ人がちらほらと歩いている廊下を走り抜け、人魚野郎から逃走するが、いつまで追いかけてくるんだろうか。
しかし、ずっと建物内で走っていると、いずれ教師が止めに入るだろう。
そしてあの人魚野郎と説教を食わされる。
それだけは絶対に嫌だ。
『(とりあえず身を隠せそうな静かな場所……)』
教室はまだ人がいるから無理だし、実験室も騒いだら後々面倒だし、植物園……
『(そうだ！植物園なら静かだし、あんま人がいないだろ！)』
僕は植物園に逃げることにした。
しかし、フロイド先輩は執念深かった。
植物園まで来たら諦めるかな、とは思ったが、今も尚、背の高い薬草をかき分けてまで獲物を狙う野獣の如く、僕を探しているではないか。
フロイド「A〜、どこ〜？」
『(なんでそんな僕にこだわるんだよ……)』
フロイド「何もしないから出ておいで〜」
『(嘘つけ)』
フロイド「……何もしないっつってんだろ」
『(口調が荒くなったし)』
突然口調が荒くなる男は大体信用しない方がいい。
何されるかわからないからな。
僕は四つん這いになって密集した薬草を盾にして、隠れながら移動していると、手に何かフサフサしたものが当たる。
顔を上げると、寝ているレオナ寮長がいた。
僕の手に当たったものは、どうやらレオナ寮長の尻尾らしい。
『レ、レオナ寮長！』←小声
レオナ「……あ"？」
『助けて！いや、助けてください！』←小声
レオナ「……」
面倒な事を察したのか、レオナ寮長は僕に背を向けてしまった。
『お願いします！今人魚野郎に追いかけられてるんです！捕まったら何されるかわかんないです！
今僕を助けないと今度レオナ寮長の枕元に沢山の色とりどりの野菜を置いてやるからな！？』←小声
レオナ「必死かよ」
刹那、
突然腕を引っ張られたと思いきや、レオナ寮長は僕を自分の胸板に押し付ける。後頭部と背中に手を回され、レオナ寮長の匂いが鼻をくすぐる。
フロイド「……いねぇの？」
フロイド先輩は諦めたのか、足音が小さくなって、次第に聞こえなくなる。
僕はレオナ寮長から離れ、安堵していると何故か財布を差し出された。
レオナ「匿ってやったんだ。飲み物買ってこい」
『(女をパシらせんなよ)』
という言葉を呑み込み、僕はレオナ寮長の財布を手に取った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1055人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - そよんさん» コメントありがとうございます。こういう嬉しいコメントがあるたんびに頬が緩みます (2020年5月9日 14時) (
レス) id: 629036c9bb (このIDを非表示/違反報告)
そよん(プロフ) - こういう素敵な作品に限って、途中で終わったりすることがあるから、読みながら「あーそろそろ続きないかも…」って思ってたら「やだ！まだある、まだある！！！？」って全私がうれしみの舞(？)笑。素敵な作品をありがとうございます！！ (2020年5月9日 13時) (レス) id: 4362c83576 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - クリきんとんさん» ご報告ありがとうございます。これからも頑張ります (2020年4月29日 4時) (レス) id: 629036c9bb (このIDを非表示/違反報告)
クリきんとん(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいております！269話のフロイドくんの名前が1部フライドになってます、、、、気の所為だったらすみません！！これからも応援しています (2020年4月29日 1時) (レス) id: 57857ad3bd (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - らて。さん» ご報告ありがとうございます。楽しんでもらえて嬉しいです (2020年4月28日 21時) (レス) id: 629036c9bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2020年4月24日 1時
