【ツイステ】悪役だけを。◆６◇

◆267.努力の方向性 ページ29

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「ねえタコちゃん、
そんな狭いタコ壷に引きこもって
何してるの?」

「うるさいな
僕のことは放っておいてよ」




『(とうとうグレたか)』




「すごい
どの貝殻にもびっしり呪文や魔法陣が
書いてある
種族を変える魔法に、
声を奪う魔法……
君、その8本足でずっと
魔導書の研究を?」

「勝手に触るなよ!
墨を吐きつけられたいのか!」




ちゃんと褒めてくれる奴がいたのに、なんでそんなに反抗的になってしまったのだろうか。



『(ショタは素直な奴が一番だよなぁ)』




おっと、いつの間にか顔がニヤついていた。

このままでは僕は変態と言われてしまう。
危ない、危ない。




アズール「そして、
ひたすら勉強を続けて数年が過ぎ……



すると次に聞こえてきたのは、あのギザ歯双子の声だった。




フロイド「となりのクラスの
デブ人魚が急に激やせして
彼女が出来たんだって」

ジェイド「かわりに
彼自慢のテノールが
酷いしゃがれ声になったそうです」

アズール「へぇ、そう」

ジェイド「別のクラスの
ボサボサのくせ毛に悩んでいた人魚も
サラサラで綺麗な金髪になったとか」

フロイド「代わりに
早く泳ぐための大きな尾びれが
無くなった」

アズール「ふぅん。なるほど」


ジェイド「ねえ、アズール
ぜんぶ君の仕業なんでしょ?」




『……』




アズール寮長はその事について肯定した。




アズール「1秒たりとも
忘れたことはなかった
僕をバカにしてたヤツら
いじめたヤツらの姿を
そして時間をかけて観察してきた
ヤツらの弱み、悩み……
僕は、全部握っている!
弱みを握れば
速く泳げる奴の尾ひれが奪える
悩みを握れば
歌が上手い奴の歌声も奪える
この契約書があれば、僕は無敵だ!



僕は足を進める。

靴の中に水が入って、気持ち悪くても歩く。




アズール「僕はもう
グズでノロマな
ひとりぼっちのタコじゃない」


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