◇133.不審者 ページ39
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グリム「うぅ〜ん……
見たかぁ、オレ様のスーパーシュートを……」
『……うるさい』
イヴ「……」
就寝時間となり、布団に入って少し経った後、なかなか寝つけられないでいた僕とイヴはグリムの寝言という名の追い討ちにより目が醒めてしまった。
イヴ「眠れるようにホットミルク淹れる?」
『んー……いや、外に出よう』
イヴ「え?」
『夜の外って何故か知らないけどテンション上がるんだよねー』
僕はイヴの手を引いて外に出た。
ボロい扉を開けると、月が綺麗な夜だった。
夜風が頬を掠め、僕らは芝生に寝転がる。
『やっぱ夜はいいねー』
イヴ「……うん」
『月も綺麗で、星も綺麗。僕、夜が好きなんだー』
イヴ「そっか……私は朝が好き」
『なんで?』
イヴ「太陽が出てるとなんか安心するの。青い空も白い雲も好きだし」
『ふーん』
Aは夜が好きで、
イヴは朝が好き。
『……僕達ってほんと、正反対だよね』
イヴ「なのに、似てるってよく言われるよね」
僕がそう言うと、イヴは笑う。
イヴ「……私達、いつ元の世界に帰れるのかな」
『……』
イヴ「ねえ、Aちゃん」
『ん?』
イヴ「元の世界に帰れても、私達友達でいよ?」
『……うん』
そんな時、足音が聞こえた。
僕らはすぐに起き上がり、警戒する。
「……ん?そこにいるのは誰だ?」
『それはこっちのセリフだよ』
そこにいたのは頭に角が生えた男だった。
黄緑色のベストは見覚えがあった。
「これは驚いた。お前達、人の子か」
イヴ「……っ」
「お前達、ここに住んでいるのか?
この館はもう長いこと廃墟だったはず」
『ああ、そうだよ。僕達はこの館に住まわせてもらっている』
「独りで静かに過ごせる僕だけの場所として気に入っていたのだがな」
『ていうか、君は誰なんだ』
すると角男は目を張る。
「誰って……。僕のことを知らないのか?本当に?
……ふぅん。そうか。それはそれは……珍しいな。
お前達、名前はなんという?」
イヴ「イヴ……です」
『A』
「イヴにA?珍しい響きの名だ。僕は……
いや、やめておこう」
『なんだよっ!』
「聞かない方がお前達のためだ」
イヴ「私達の……ため……」
「知ってしまえば、肌に霜が降りる心地がするだろう。世間知らずに免じて、好きな名前で呼ぶことを許す」
『(何様だよ)』
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冬雪(プロフ) - あいさん» コメントありがとうございます。面白い、と思ってくれて嬉しいです (2022年12月8日 18時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - めっちゃ面白すぎる!! 夢主ちゃん良い子すぎて泣ける、、、 (2022年12月8日 16時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - Rukia (ゆっくりゆる)さん» コメントありがとうございます。少しでも楽しめたら嬉しいです (2021年4月11日 23時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
Rukia (ゆっくりゆる) - 120話ツボりました。他の話もですけど面白かったです。このやr((殴 すとーりーおおいねぇ。(思考停止) (2021年4月11日 21時) (レス) id: 2e12baa0e6 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 13番さん» 報告ありがとうございます (2020年9月6日 14時) (レス) id: a3f0fbae31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2020年4月6日 4時