◆65.弱点 ページ20
.
『……料理が』
ケイト「料理が？」
『嫌いです』
目を逸らして言った。
ケイト「はああああぁぁぁぁぁぁぁ……」
するとクソでかい溜息を吐かれた。
『な、なんすかそのクソでかい溜息』
ケイト「だって弱点が普通すぎて」
『おい』
ケイト「もうちょっとなんか……テンパると失敗しやすいとか、何もないところで転んじゃうとか」
『それただのドジっ娘じゃないか！』
ケイト「でもAちゃん料理出来なさそ〜」
『独断と偏見で納得すんな！！』
デュースのことといい、周りの野郎共は失礼すぎる
たしかに僕は物事に対して雑な部分はあるのかもしれない。面倒な事は嫌いだし。
それでも、
『出来ない、とは言ってないだろ』
ケイト「え？」
『料理は嫌い。だけど出来ないとは言ってない』
ケイト「じゃあなんで嫌いなの？」
『誰かのための料理を作るのが嫌い』
ケイト「……」
ケイト先輩の顔つきが真剣になった。
話をちゃんと聞いてくれるということだろう。
『僕、過去の記憶が曖昧で、正直この学園で初めて目を覚ました時より前の記憶はありません』
ケイト「そうなの？」
『イヴもそうらしいです。
話を戻しますけど、僕は誰かが食べるという前提の料理を作るのが嫌いなんです。過去のことは曖昧だけど、誰かのために作った料理を食べられずに腐らせたり、捨てられた記憶があるんです』
ケイト「……」
『その記憶が頭にチラついて、でも、その理由がわからなくて、気持ち悪くて、だから僕、料理が嫌いなんです』
ケイト「……」
『これは俗に言う��トラウマ��というやつです』
覚えのないトラウマだけど。
ケイト「話がオレより重いじゃん」
『僕の勝ちですね』
ケイト「あれ？これって勝負事だったっけ？」
僕が笑えば、ケイト先輩は微笑を浮かべる。
ケイト「でもそれって��今の��Aちゃんじゃわからないんじゃないかな？」
『今の、僕？』
ケイト「過去は��偶然��食べてくれなかった人がいたかもしれないけど、今はそうでもないと思うよ」
「オレだったら甘い物以外だったら手作り大歓迎」と笑うケイト先輩。
『……本当はリゾットとかスープとか作りたい』
ケイト「リゾットか〜！いいねいいね！作っちゃいなよ」
『うん。そうする。ケイト先輩は相談しがいのある良い人だな』
ケイト「……そうかな」
僕がそう言うと、ケイト先輩は頬を赤く染めた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1723人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - サナさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただければなと思うばかりです (2022年8月11日 20時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
サナ - やっと、2巻なんだゾ(このお話の)。楽しみ。 (2022年8月11日 18時) (レス) id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - ゆずさん» ご報告ありがとうございます (2020年10月13日 11時) (レス) id: a124ecb095 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ◆82話のところでトレイ先輩がトイレになっててめっちゃ笑いましたwwww (2020年10月13日 3時) (レス) id: 207a7fb508 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - るなさん» ご報告ありがとうございます (2020年10月4日 18時) (レス) id: a124ecb095 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2020年3月31日 8時
