◆56.捕獲 ページ11
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『待てこの悪狸ー！』
グリム「オレ様は狸じゃねぇんだゾ！」
中庭を軽快に駆け回るグリムを追いかける。
グリムが木に登れば僕も登って追いかけ、青い炎を吐いてくるものなら僕には効果がないためそのまま一直線に駆け抜ける。
グリム「オマエほんと何者なんだゾ！」
『人間様だっつーの！』
ちょこまかと動き回るグリムを仕留めようと、木から飛び降りて捕まえようとするが、ひらり、とかわされる。
そしてグリムは僕に「ついてこれるもんならこっちまでおいで〜なんだゾ」と挑発する。
『(あいつ、昼飯買ってやらねーぞ……)』
しかし相手から噴水前に行ったから良しとしよう。
グリムが噴水の縁に立つと打ち合わせ通り、噴水の裏側に隠れていたエースとデュースがグリムを網で捕まえた。
グリム「ふなっ！？」
エース「よっしゃー！昼飯ゲット〜」
グリム「オレ様を食うのか！？」
エース「いや、オマエじゃねぇよ」
これで一安心かなと、ホッ、と息を吐く。
立ち上がって、いつの間にか制服についていた葉っぱを払っていると、ふと視線を感じた。
『(……あ)』
二階の窓から僕を見ていたのはリドル先輩だった。
勿論、他にも僕らを見ている人達がいた。
僕を見ていたり、エースを見ていたり、デュースを見ていたり、グリムを見ていたり。
それなのに、リドル先輩は僕だけをジッ、と見ていたのだ。
とりあえずここは笑って手を振ろう。
僕はそう思い、彼に手を振れば彼は一瞬驚き、目を逸らして小さく手を振り返した。
デュース「A、誰に手を振っているんだ？」
『あそこにいる……って、あれ？』
一瞬目を離した隙に、リドル先輩はいなくなっていた。
『昨日知り合った人がいたんだけどなぁ』
デュース「お前ってケイト先輩のことといい、先生達のことといい、以外と顔が広いよな」
『僕が顔広いんじゃなくて、相手から話しかけてくるんだよ』
そんなに僕という��女��が珍しいのだろうか
そう思いながらグリムを抑えているエース達の元へ歩く。
『ありがと、エースとデュース』
エース「手伝ってやったんだから昼飯忘れんなよ」
『へいへい』
グリム「やだやだー！つまんない授業は嫌なんだゾー！」
『グリム』
グリム「ん？」
『逃げるなよ？』
わざと声を低くして脅すように笑って言えば、蛇に睨まれた蛙の如く顔を青くするグリムがいた。
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冬雪(プロフ) - サナさん» コメントありがとうございます。楽しんでいただければなと思うばかりです (2022年8月11日 20時) (
レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
サナ - やっと、2巻なんだゾ(このお話の)。楽しみ。 (2022年8月11日 18時) (レス) id: 2c45cd1730 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - ゆずさん» ご報告ありがとうございます (2020年10月13日 11時) (レス) id: a124ecb095 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ◆82話のところでトレイ先輩がトイレになっててめっちゃ笑いましたwwww (2020年10月13日 3時) (レス) id: 207a7fb508 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - るなさん» ご報告ありがとうございます (2020年10月4日 18時) (レス) id: a124ecb095 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年3月31日 8時
