◆2.逃走 ページ4
イヴ.
イヴ「(何？ここ……)」
女の子と喋る狸から逃げながら、私の視界に映る光景にただ目を疑う。
西洋染みた建物、映画に出てきそうな部屋、静かな中庭。
『ここ広すぎ！出口が見当たらない！』
イヴ「そ、そんな……っ」
『とりあえず隠れよう！
……あ！あそこ！あそこに隠れよう！』
女の子が指差したのは大きな扉。
私達は急いで部屋の中に入って扉を閉めて、扉に背を預け、ずるずると座り込む。
『はぁ……なんなんだよ、ここ……』
イヴ「夢なら早く醒めてほしい……」
『それな〜』
お互い乱れた息を整える。
そして、逃げ込んだ部屋を見る。
イヴ「(ここも、変な場所……)」
本のような物が宙に浮いていた。
とうとうこの場所は、映画の撮影現場でも、何かのドッキリでもなく、ただ夢であってほしいという場所になる。
『(……そういえば、誰なんだろう、この子)』
チラッと隣を見る。
フードを深く被って顔はよく見えない。ベージュ色のカーディガンに私と同じ柄のスカート。
少なくとも私と同じ境遇の人なのだろう。
名前を聞こうとした刹那、
グリム「オレ様の鼻から逃げられると思ったか！さっきはよくもオレ様を蹴り飛ばしてくれたなニンゲンめ！」
『！！』
イヴ「！！」
グリム「もうどっちでもいいから制服寄越せ！」
『いや、誰が寄越すか！てか、しつこい！しつこい狸はもれなく嫌われるよ！！』
グリム「オレ様は狸じゃねぇ！！」
イヴ「(いや、どうみても狸……)」
グリム「さあ、丸焼きにされたくなかったらその服を＿＿」
女の子が私の前に出た、その刹那、
痛々しい音が響いた。
グリム「ふぎゃっ！？痛ぇゾ！なんだぁこの紐！」
「紐ではありません。愛の鞭です！」
そこにいたのは、鞭を携え、羽根が付いたマント、黒いシルクハットにベネチアンマスクをした男の人だった。
「ああ、やっと見つけました。君達、今年の新入生ですね？ダメじゃありませんか。勝手に扉から出るなんて！」
そう言いながら喋る狸を捕まえる男の人。
「……それに、まだ手懐けられていない使い魔の同伴は校則違反ですよ」
グリム「このっ、離せ〜！オレ様はこんなヤツらの使い魔じゃねぇんだゾ！」
「はいはい、反抗的な使い魔はみんなそう言うんです。少し静かにしていましょうね」
男の人は喋る狸の口を塞いだ。
.
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冬雪(プロフ) - コメントありがとうございます。どうぞ次にお進みくださいな (7月15日 10時) (
レス) @page50 id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
さ - 嫌いに!!なるわけ!!ないだろ!!寮長!!続き読んできます！！！ (7月15日 8時) (レス) @page50 id: 97d79e1a3f (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - るきあさん» コメントありがとうございます。見つけてくれてありがとうございます (2022年4月23日 17時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
るきあ(プロフ) - やっと見つけた！！！！！！！！！！！！！！！！！機械壊れて占ツク入れてから数ヶ月探してたけど見つかりました…応援してます…一から読み直します‼️ (2022年4月23日 17時) (レス) id: e2065bbc2b (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - はわわさん» コメントありがとうございます。ハマっていただけて嬉しいです。自分もここまでくるとは思いませんでした (2022年4月13日 0時) (レス) id: 789871a44a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2020年3月23日 0時
