【刀剣乱舞】妖物語 (ページ10)

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103.縁側にてページ10

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「噂通り、どうしようもなく優しいのだな」

突然言われた声に驚く。

振り向くと急須や湯呑みが乗ったお盆を片手に、前髪で片目が隠れている男の人が立っていた。

「鶯丸様！？いつの間に……」

『鶯丸、さん……？』

「お茶の準備でしたら僕がやりましたのに……」

そう言って平野くんが鶯丸さんからお盆を受け取り何故か鶯丸さんは私のことを凝視した。

「一緒に茶でもどうだ？主」

『え……？』

「あ、なら僕もう一個持ってきますね」

『あ、平野く……行っちゃった』

「アイツもチャンスだと思ったのだろう」

『……チャンス？』

「細かいことは気にするな。座って待つとしよう」

そう言って鶯丸さんは縁側に座ると、座れた言わんばかりに隣をポンポンと叩いて催促する。

流されるまま鶯丸さんの隣に座る。

よくよく考えてみると鶯丸さんと話すのも初めてで何を話したら良いのかわからない。場合によっては彼らの地雷を踏むことになるから話題を奥深くまで読んで考えないといけない。石橋を叩いてその上に更にコンクリートを乗せるようなものだ。

「主」

『は、はいっ！』

「何をそんなに緊張しているのだ？」

『す、すみません！鶯丸さんと話すのは初めてですので……何を話したら良いのか……』

「なんだ話題に悩んでいたのか？平野の兄弟からは主と一緒にいるだけで楽しい、と聞いているぞ」

『私の知らないところで無茶苦茶誰かがハードルを上げているのはわかりました……』

誰だ。何藤四郎だ。どの粟田口だ。

いや、絶対鯰尾くんだろう。褒めてくれるのは嬉しいのだが、それは時と場合によっては私を苦しめるのでやめていただきたいのが本音だ。

『あまり期待しないでくださいね……実際、本当に楽しい話題が思い浮かばないんです』

「なら楽しい話題を考えよう。主のような年頃は恋話が好きだと平野の兄弟から聞いたぞ」

『恋の話ですか……すみません、好きな人とかいないです』

「あとは……怖い話」

「呼んだかい？」

『うわあああああああっ！！？』

鶯丸さんが怖い話と言った刹那、私の耳に囁かれた声に驚いて咄嗟に鶯丸さんの腕にしがみついてしまった。

「凄い驚きようだな、主」

『ヒエッ……す、すみませ痛っ！』

鶯丸さんから離れようとしたら勢い余って木柱に後頭部をぶつけてしまい悶える。

「相変わらず君は面白いね」

「なんだ、楽しい奴じゃないか主」

顔を上げると鶯丸さんと青江さんが笑っていた。

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