98.演練場 ページ5
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本部。
そのすぐ傍の大きな建物。
そこが演練場になっており、配属された審神者が自分の刀剣男子を率いて交流の場、力試しなどに使われている。
前後左右は老若男女の審神者がおり、その傍に必ず刀剣男士がいる。しかし刀剣男士が被った場合、時折誰が誰の刀剣男士か解らなくなるのが多々あるらしい。
『やはりいつ来ても演練場は広いですね』
「これならすぐ迷子になってしまいますね!」
「迷子になったら探すの面倒そうだ」
……本当に迷子になってしまいそうだ
主に私が迷子になってしまう可能性が大いにあり得るのでみんなとはぐれないようにと決心すると、ふと、黒髪の巫女服を着た綺麗な審神者さんが目についた。
「あるじさまー!」
「どうしたの?今剣」
「ぼくはきょうとてもがんばりましたよ!なので、かえったらたくさんほめてくださいねっ」
「ふふ、わかってますよ」
……なんだあの素直な今剣くんは
黒髪の審神者さんに甘えているのは今剣くんで、私の今剣くんとは程遠いくらいに甘々だ。
ふと、怖い顔をした私の今剣くんと目が合う。
「……なんですか?ぼくよりあちらのぼくのほうがいいのですか?きりますよ」
『ち、違うよ!?刀は収めようよ!ただ今剣くんって笑ったらあんな可愛いんだな、って思ってただけだよ!?』
私の記憶が正しければ今剣くんの表情は辛辣な顔などの表情しか見たことがなく、笑った顔は一度も見たことない。
しかし斬られるのは怖いため山姥切さんの背後に隠れる。
すると今剣くんは刀を収めて、そっぽを向いてしまった。
「……ふんっ」
『(演練……大丈夫かなぁ……)』
バランスを取るために短刀の今剣くんを編成した私だが、彼とは複雑な関係だということを忘れていたため今度はちゃんと交友関係を考えながら編成しようと心に決める。
すると陸奥守さんが私の頭に手を乗せる。
「やけんどこがに審神者が多いと……なんやっけ?かつ……かつ丼審神者だっけか?」
『活撃審神者さんですよ、陸奥守さん……』
「かつ丼審神者……主!今日の夕餉はかつ丼がいいです!」
『己に正直ですよね鯰尾くん』
なんだか活撃さんを夕餉の献立のダシに使ってしまって申し訳ないと思うが、私もかつ丼を食べたくなってしまった。私も己に正直だということだ。
「……探すか?」
『そうでね……探しましょうか、山姥切さん』
その刹那、誰かに肩に手を置かれた。
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戦国娘(プロフ) - 作品楽しみに読んでます!あと、一つ報告が.....一護ではなく一期一振というので正しくは一期です!! (2020年1月20日 0時) (レス) id: 008b2d0f5c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:冬雪 | 作成日時:2019年6月15日 0時