【刀剣乱舞】妖物語 (ページ37)

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128.最高な人ページ37

一期.

『と、とりあえず！一期さんがそんなにか悩むことではないということなんです！』

一期「……」

『……えっと、触ってもいいですか？』

私は主殿の要求に承諾すると、主殿は安堵したような表情を浮かべて私の涙を拭い、その小さな手で私の頭を撫でる。

……懐かしい

前代の主殿に、もう一度会いたくなってしまう。

長兄である私を甘えさせてくれた人。

『あの時、私に化けた猫が私に擦り寄って困っている時、貴方は一番に駆けつけてくれて、少し驚きましたけど凄く嬉しかったんです。やっと心を開いてくれたのかなと自惚れてしまうくらい』

一期「……」

『……だから、ゆっくりでいい。一期さんのペースでいいから、私のことを信じてください』

一期「……っ！！」

＿＿＿＿＿「一期のペースでいい。そう焦らずともお前は強くなれるから安心しろ」

前代の言っていた言葉が不意に頭をよぎる。

彼女とあの方の姿が重なって、とうとう止まろうとしていた涙はまたも溢れ出す。

『え！？やっぱり人間に触られるのは嫌……』

一期「違っ……違うんです……、どうして、どうして貴女は、そんなに優しいんですか……っ……」

『……』

一期「前代の主殿も、理解出来ない方ではありましたが、貴女も、前代の主殿に似て、……本当に理解出来ないっ」

『……だって、一期さんが泣いてるから』

主殿は当然のように言った。

すると私の手を握って立ち上がらせ、月の方を見ながら「今日は凄い月が大きく見えますよ」と笑う。

『しかもとても明るいから、一期さんの顔が夜でもよく見えるから泣いているんだなって、わかる』

一期「……」

『一期さんが泣いていたら、そのたんびに私は貴方の涙を拭いにいきますから。だから、泣かないでください』

そう言って月明かりに照らされて微笑む主殿はとても綺麗だった。

髪の隙間から見える赤い瞳も、目を細めて笑う表情も、私の心を起こすには十分なものだった。

この胸の高鳴りさえも可笑しく思えて、笑いが込み上げる。

一期「……貴女は、本当に馬鹿な人だ……」

『……わ、笑った！見た！？薬研くん！一期さん笑ったよ！』

薬研「……」

『よかったね！これで他のみんなも……』

すると薬研は私と主殿を小さな身体で抱き締めた。

一期「薬研……」

『え！？あ、あの……』

薬研「大将」

『は、はい！』

薬研「ほんと、あんたは最高だ」

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