【刀剣乱舞】妖物語 (ページ17)

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110.前田の告白ページ17

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「燭台切様が教師の方とお話をしております故、主君は燭台切様がいらっしゃるまでゆっくりお眠りになっていてください」

そう言って前田くんは私に布団を被せる。

そうか、燭台切さんも来てくれているのなら大丈夫だよね

……いや、大丈夫じゃないな

『刀剣男士って普通の人には見えないんじゃ……』

「通常なら。しかし僕らはお忘れでしょうがれっきとした＂神様＂といえる存在。霊力さえ使ってしまえば普通の人間に僕らを認識させるのは容易いものです」

『(……なんでもありだなぁ)』

見た目が子供でもやはり神様だ。通常なら人間である私が従う立場な筈なのに私が彼らを従わせる。私は今の現状は苦笑いを浮かべるしかない。

『(それにしても前田くんはどうして来てくれたのだろう)』

燭台切さんは良いとして私達の今の現状は気まずい筈だ。私は彼を凝視していると、それに気づいた前田くんは一度だけ目を逸らすけれど、私と目を合わせる。

「……僕が来るの、嫌でしたか？」

私はすぐに顔を横に振る。

「……貴女の心情を知りたいですが、今は喋らなくていいです。僕が勝手に話します」

『……？』

「僕は、この心が嫌いです」

『え……』

「兄弟も大好きですが大嫌いなんです」

前田くんは静かにそう言った。

すると前田くんは私の手を掴み、指を絡めた。

「主君」

『……？』

「不本意ですが、お慕いしています」

心臓が強く、動いた

「しかし、貴女には僕の想いは重すぎましょう」

『(前田くん……)』

「兄弟達に向けるこの嫉妬心は消えることはありません。恨んで、憎んだとしても最終的には大切だと思うこの矛盾した想いを自分自身諸共消えてなくなりたいと何度思ったことか」

何かを言ってあげないといけないのに、思考が働かなくて、熱で使い物にならなくなっていく。

「貴女を押し倒して、恐怖で頭がいっぱいになった貴女がその拍子に僕を刀解するという計画だったのですが、そう簡単にはいきませんね。貴女は攻撃を仕掛けようとはしなかった」

『……っ』

「貴女は優しいから、こればかりは仕方ありませんでしたね」

まだ、刀解を望む人がいたということに涙が止まらない。

「僕が貴女の祖父の刀で、ごめんなさい」

そう言った前田くんの表情は泣きそうなくらい穏やかだった。

私は苦しくなる心臓を抑えながら前田くんの手を握り返した。

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