77.堀川国広の神域 ページ31
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『……ん』
頬に感じる冷たさに目を開ける。
身体を起こし全体を見渡すと終わりが見えない程の一面澄み渡った青空が広がっていた。地面は五ミリ程度の深さの海が空を映す程透明だった。
空と海の境界が、私を中心にして広がっていた。
『……私の真名、知ってたんですね』
そう言いながら振り向くと、堀川さんが虚ろな目を私に向けながら立っていた。
「……あの時」
『あの時？』
「貴女が……初めてここに来て……厚くんに斬られそうになって、加州くんが貴女の名前を叫んだ……から」
『……とういうことは他の人達も私の名前を知っているということですか！？』
「……わから、ない」
そう言って更に顔を下に向ける堀川さん。
私は立ち上がって堀川さんの元へと歩き始める。
「……主さん」
『なんですか？』
「……僕を、折ってくれませんか？」
予想していた言葉だった。
『なんでですか？』
「僕は……穢れてしまったんです。穢れた刀剣男士は歴史修正主義者に闇に堕とされます。もう、僕は貴女の敵になってしまったも同然なんです」
『でも堀川さんは敵ではない筈です』
「じきに僕の自我も消えます。こんな不良品、早く折って処分した方がいいんですよ」
『……私には、理解出来ません』
「理解出来る筈ですよ」
堀川さんに近づこうとしているのに、何故かどんどん遠ざかっているような気がする。何度歩いても彼の元には辿り着けないでいるのです。
「僕を折った後は新しい僕を迎えてください」
『鍛刀しろというんですか？』
「そうです。脇差なんて意外とすぐ来ますよ」
『そんなのわからないじゃないですか』
「太刀や大太刀、薙刀や槍よりはすぐ来ますよ。僕は、堀川国広は鍛刀すればいくらでも変わりはいますし」
『……そんなの、誰が喜ぶんですか』
「みんなです。みんなが大嫌いな三人目の審神者の霊力が流れた僕なんて邪魔なだけです。新しい僕が来ればきっと、兼さんも喜んでくれる筈」
『……��みんな��はそうかもしれない。でも、そうでないかもしれないじゃないですか』
私がそう言うと堀川さんは顔を上げた。
やっと堀川さんの元に辿り着けた私は堀川さんの頬を思いきり力強く叩いた。
「っ！」
『堀川国広が何人いようと、他のみんなが今の堀川国広に満足しないでいようと、堀川国広が折ってほしいと何度言おうとも、私の堀川国広は貴方しかいないんです……っ！』
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
