60.矛盾した好意 ページ14
骨喰.
「兄弟、書庫では静かにしないと……」
「だ、だって……真剣な顔で、愛してるのか？って聞かれたら誰だって笑っちゃうよっ！あはははっ」
「なんか笑われると苛立ちを覚える」
「ごめんごめん……えっと、俺は主にそんな感情は抱かないし、ただ普通に可愛いって思ってるだけだから」
普通に可愛い、とはどういう意味なんだろう
愛とは違う可愛い？それは可愛いではなく、無関心ではないのだろうか、と思う。
でもたしかにあの時、兄弟が主を見る目は俺や他の兄弟、他の刀剣男士に向ける視線とは明らかに違う気がする。いや、気がするじゃない。違うのだ。
「……違う」
「ん？」
「兄弟が主に向ける視線は俺や兄弟、他の刀剣男士に向ける視線と明らかに違う」
「なになに〜？嫉妬？」
「たわけ」
「え」
「そこのところ、どうなんだ？」
迫れば困ったように頬をかいて目を逸らす兄弟。
「それは、俺にもわかんないかな〜」
「何故」
「いや何故と言われても……可愛いは可愛いってことだよ。それ以上でもそれ以下でもない、そのままの意味」
「愛がない可愛いは無関心ってことなんじゃないのか？」
「そんなことないと思うよ？愛がない可愛いはたしかに無関心かもしれないけど、俺にとっては意味のある可愛いで、微笑ましくて、なんだか小動物みたいで可愛いとか、そういう意味の可愛いだよ」
「……？」
「まぁその内、兄弟にもわかるよ」
そう言って味噌汁を飲み干す兄弟。
わからない事が沢山ある、ということに俺は自然と溜息を吐き、おにぎりを食べ尽くす。
「兄弟は主のこと好きなのか？」
「……うん、好きだよ。信頼もしてる」
「でもそれは恋愛感情ではない」
「うん。信頼してるのはたしかだし、好きなのもたしかだし、可愛いと思ってるのもたしかだよ」
……やはり、兄弟が言ってることは矛盾している。好きとか可愛いと思っているのに、これは恋愛感情ではないと思っているのだ。矛盾にまみれている。
兄弟の身体は矛盾に成り立ってるのではないかと思うくらい矛盾しているのだ。
「俺はただ主の支えになりたいんだよ」
「支え？」
「困った時は近侍に頼るみたいに悲しい時は真っ先に俺の傍に来てほしいんだよね〜……んで、俺が慰めて、甘やかす」
「……頑張れ」
「んー……」
「どうした」
「頑張りたいとは思ってるんだけど〜」
「なんだ」
「あの人はね、」
加州さんを見てるんだよ
.
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冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
