94.縁談破棄 ページ48
.
『……え』
「ぇぇぇえええ！？主、縁談あったんですか！？」
私がビックリする前に盗み聞きしていたのか鯰尾くん達が勢い良く障子を開けた。
刹那、乱くんと鯰尾くんが凄い勢いと力で私を抱き締める。
「主さんお嫁さんに言っちゃヤダ〜！」
「ダメですよ主！貴女の純潔がなくなってしまうと霊力が落ちてしまうんですから！」
『ちょっ……鯰尾くん、首……首絞めてる……っ』
その細い腕にどれだけの腕力をお持ちなのか、私の首に腕を回す鯰尾くんは手加減なく私を抱き締めている。主に首。
「待て、兄弟」
すると骨喰さんが部屋に入って来る。
「なんらかの食い違いがあるかもしれないだろ」
『顔色物凄く悪いですよ骨喰さん』
「気のせいだろ」
明らかに何故か落ち込んでいる骨喰さん。
五虎退くんは泣いてるし今剣くんから剥き出される殺気は凄く怖いし他の人達も集まってくるし。
……しかし、私は本当に知らないのだ
『あの、活撃さん』
「はい」
『……縁談とは、どういうことでしょうか？』
「……え？」
『そもそも私達は初対面ですよね？』
すると目を張る活撃さん。
そして酷く傷ついたような表情を浮かべ、顔を下に向けてしまった活撃さんに疑問が隠しきれない。
『えっと……私、何か気に障ることを言ってしまいましたか？』
「……いえ、私が��なかったことに��しようとしていたので、これで良かったんですよ……」
そう言った活撃さんの表情は凄く悲しそうだ。
……なんだろう、このモヤモヤ
何かが引っかかる。どうしても他人事だとは思えないのだ。縦の糸と横の糸が上手く絡み合わないように、パズルが上手く組み合わないように。
何かを��忘れている��みたいに。
……忘れている？
そんな時、私はある仮説が頭によぎる。
私は、活撃さんのことを知っている
けれど、忘れている
その刹那、頭の中でモザイクと雑音が入ってくる。映像も音声も視聴させないように私の本能は何かを思い出させようとしてくれなかったのです。
「……今日はこれで失礼します」
『あ……』
「これから私達は先輩後輩の関係で、友人で、それ以上でもそれ以下でもない。貴女が気に病む必要もありません」
立ち上がって部屋から出て行こうとする活撃さんを追う。
……私はまた、大切な誰かを忘れているの？
お爺ちゃんみたいに、忘れたくなかった人を。
忘れちゃダメな人を、私は忘れているんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 105人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冬雪(プロフ) - たまごやきさん» コメントありがとうございます。毎回題名が変わる小説ですがこれからも読んでいただけると幸いです (2019年6月9日 9時) (
レス) id: 319301ee3c (このIDを非表示/違反報告)
たまごやき - こんにちは。今までコメントしていなかったのですが、いつも作者様の作品を読ませて頂いてます。あんスタの方から読み始めたのですが、どちらもとても引き込まれてしまいとても好きです。これからも作者様のペースで更新してくださると嬉しいです。 (2019年6月9日 9時) (レス) id: 7f42fd7b15 (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 幸別愛友さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年5月25日 15時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
幸別愛友 - すごくいいお話です…(*´^-^`*) その文章能力わけてほしいくらいです…(>д<。) これからも更新頑張って下さい！楽しみにしてます！！ (2019年5月25日 12時) (レス) id: 978af02bfc (このIDを非表示/違反報告)
冬雪(プロフ) - 瑠花さん» 他人が作ってしまうと自分が作った物語が思い通りにいかなくなります。誰も語彙力がないことを馬鹿になんてしませんよ。馬鹿にする方が馬鹿なんですから (2019年5月24日 22時) (レス) id: 13dcdbbff5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：冬雪
| 作成日時：2019年5月20日 21時
